今月の日本経済新聞「私の履歴書」はアサヒグループホールディングス相談役の福地茂雄さんです。
2014/6/11の連載では、福地さんが初めて管理職になり、支店長から「君はどういう考えを持って部下に接するのか」と尋ねられた時のことを述懐されています。
福地さんは「自分にできないことを部下に求めるのは卑怯です。自分にできることはしっかりやらせます」と答えました。
それに対する支店長の答えは…..
—(以下、引用)—
すると「君は管理職として落第だな。それだと君のコピーばかりできてしまう」とずばり言われる。「支店長である私もそうだが、自分の仕事以外のことも見ないといけない。役目上、自分がやれないことも求めなければならない」というわけだった。
得心した。確かにプロ野球チームの監督はすべてのポジションをこなせるわけではない。自分が経験のないところでも一流を求め、育てないとチームは強くならない。名古屋支店長の教えを受けて以来、教え子が師匠より優れた人物になる「出藍の誉れ」を意識し、部下と接しようと考えたし、アサヒビール、NHKで経営者になる心得を教わった気がする。
—(以上、引用)—-
私がIBM在職中に、人事権を持ったマネージャーになった時、IBMではマネージャーの役割を
Lead high performance through people
(人材を通じて、高い業績をリードしていく)
と明確に定義していることを知り、「なるほど!」と納得したことをよく憶えています。
そして、それまでの部下を持たずに一人で最高のパフォーマンスを目指していた考え方から、大きく切り替えました。
自分で出来ることには限界があります。
「自分に出来ないことを部下に求めないようにする」と、いつの間にか部下と能力を競い合うようになってしまいかねません。
部下の仕事力が上がるように、自分よりも高い能力を持つように、支援していく。
本来、マネージャーに求められるのは、そのようなことなのだと思います。