「顧客絶対主義」と「顧客中心主義」は、ともに「顧客はとても大切」と考えている点は同じです。
しかしアプローチが異なるのです。
顧客絶対主義は、「顧客は絶対正しいし、間違わない」と考えます。
ですのでたとえ無理難題でも出来る限りすべての要望に応えようとします。
「ちょっと高いなぁ」と言われると快く値引きすることもあります。
顧客の言いなりになった結果、低収益に陥ります。
顧客中心主義は、「顧客は間違えることもある」と考えます。
ですので間違った要望には対応せず、その代わり顧客が気がつかないような課題に対して提案をします。
「ちょっと高いなぁ」と言われると、「そうなんです。高いんですよね」と応えることもあります。
顧客に高付加価値を提供する結果、高収益になります。
背景にあるのは、顧客満足の式です。
顧客満足 = 顧客が感じた価値 - 顧客の期待値
顧客絶対主義は顧客の期待値にすべて応えようとします。顧客が感じた価値が期待値を越えることはありません。だから顧客満足は0点以下です。
顧客中心主義は顧客の期待値を越えようとします。だから顧客が感じた価値が期待値を越えて、顧客満足はプラスになるのです。
かつての豊かでなかった時代は、顧客の期待値を満たそうとしていれば問題はありませんでした。だから顧客絶対主義でよかったのです。
しかし豊かで、競争が激しい時代は、顧客は様々な選択肢や情報を持っています。顧客の期待値を満たさないのは「そもそも問題外」。顧客の期待値を満たすのは「当たり前」なのです。顧客の期待値を大きく越えることが求められているのです。
ジョブスがいたころのアップルは、決して顧客の言いなりになりませんでした。しかし顧客の期待を大きく越える製品を出し続けていました。まさに顧客中心主義を徹底していたといえるかもしれません。