売上げのカンフル剤のセールも、乱発すると効果がなくなり、企業の体力も落ちる


日経ビジネスオンラインに『もう「通常価格」が信じられない セールの乱発で消費者が離れるアパレル業界』という記事が掲載されています。

—(以下、引用)–

「あまりにもセールが多すぎる。一体いつが買い時なのか」――。

(中略)

「シークレットセール」「会員先行セール」「ネット限定セール」「ファミリーセール」「延長セール」・・・。まさに、セールの大乱発である。

(中略)

一消費者の立場で見ると、「こんなにセールが多いなら、今慌てて買う必要はない。もう少し安くなってから買おう」と感じてしまうし、何より通常価格に対する信頼を失う。

(中略)

通常価格で売られる期間が数日しかない商品もあるという。うがった見方をすれば、通常価格はもはや、まやかしの価格とも言えるのではないだろうか。

低迷する衣料品業界にあって、セールがカンフル剤となることは十分に理解できる。しかし回数が増えすぎれば、それはもはやカンフル剤としての役割を果たさなくなる。

(中略)

一消費者としても、セールの乱発が治まれば、いつ買えば得なのかと迷わなくて済むし、いつ買っても何となく損した気分にならなくて済む。何より「今しか安くない」というバーゲン独特の醍醐味を楽しむには、その回数は少なく、期間も短い方がいい。

—(以下、引用)–

値引き販売は、カンフル剤というよりも、麻薬と言った方がよいかもしれません。

このことは、2008年にITmediaに連載させていただいた「戦略プロフェッショナルの心得」でも書かせていただきました。

「値引き販売という麻薬」

この記事にも書きましたように、日本国内で値引きと販売状況の関連性を長期的に調査した研究があります。「値引きを頻繁に行う店は、あまり値引きをしない店と比べると、販売が落ちる」という結果が出ています。

消費者は値引きした時しか買わなくなるので、値引きしない時の販売がガクっと落ち、店が閑散としてしまいます。

さらに定価で買った翌日に値引きをしたことを知ったり、自分は定価で買ったのに他の顧客には大幅値引きをしたことを知った顧客は、確実に満足度が下がりますし離れていきます。

 

「安く買いたい」と考える顧客を満足させて、この「値引き販売という麻薬」を避ける考え方の一つが、「EDLP(エブリーデイロープライス)」という戦略です。毎日最低価格を保障する方法です。決して新しい戦略ではありません。ウォルマートが有名ですが、100円ショップもこれに含めることができるかもしれませんねね。

アパレル業界では、ユニクロやしまむらがこのカテゴリーでしょうか?いずれの会社も低コストで収益を上げる体質を創り上げているので、高収益です。

 

日経ビジネスオンラインの記事でも書いているように、「値引き販売という麻薬」から抜け出すためには、今までの「セールで一気に販売」という手法から脱皮して、新しい価格戦略を考えることが必要なのだとと思います。