「戦略的研修」は、変革を目指す企業にとって現実的な解決策になりつつある


当ブログでちょうど1年前、『「オフィス永井」が、コンサルテーションではなく、研修を提供する理由』というタイトルで書いたように、オフィス永井ではコンサルは行っていません。その代わりに研修をご提供しています。

ビジネスのこと、お客様の課題、自社の強みを一番わかっているのは、実はお客様自身に他ならないからです。

お客様自身がビジネス上の課題を見つけ出し、戦略を考え、問題を解決していく方法論を身につけることをご支援していくことで、一過性ではなく、継続的に企業も成長できるのです。

そこでオフィス永井では、2013年7月の設立以来、戦略コンサルではなく戦略力を身につける研修をお客様にご提供してまいりました。

設立1年以上が経過し、多くの実績が上がっています。

 

そんな状況の中、週刊東洋経済2014.09.27号に掲載されていた、百年コンサルティング代表・鈴木貴博さんのインタビュー記事『戦略の「最終判断」をコンサルに任せるな』を拝読しました。

—(以下、引用)—-

…経営戦略として何を採用するかで結果が出たのは1980〜90年代まで。今は皆が戦略の定石を知ってしまったので、何をやるかよりもどうやるかで企業間における業績の差が生まれるようになった。….

–コンサルタントの限界もありますか?

あるだろう。今はやりの「リーン・スタートアップ」のように新規事業を小さい組織で立ち上げ、素早い意思決定を繰り返し規模を大きくするという、無料通話・メールアプリ「LINE」のようなビジネスモデルに対しては、時間単価でフィーをもらう形のコンサルティング手法は向いていない。こういう人たちをどうサポートするかという問いには、まだコンサルティング業界が答えを出せていないのが現状だ。

—(以下、引用)—-

鈴木貴博さんと言えば、ボストンコンサルティンググループで長年ご活躍され、2003年に独立されて百年コンサルティングを立ち上げられた、まさに日本を代表されるコンサルタント。

私もネットで連載されていた鈴木さんの記事を、いつも熟読しておりました。

 

この週刊東洋経済のインタビュー記事を拝読して、自分の事業の立ち位置を改めて確認できました。

 

オフィス永井では、新規事業を立ち上げるご支援を数ヶ月間の研修形式でご提供しています。

たとえはある企業様では、1事業部4-6名程度の少人数チームで構成された、10事業部(=10チーム)程度のシニアマネジメント選抜メンバーの皆様とともに、集合研修と個別ご支援を組み合わせて、新規事業を立ち上げています。

最初にチーム毎にバリュープロポジションを仮説として徹底的に考え、ユーザーや顧客への度重なる検証を通じてバリュープロポジションの精度を上げて、新規事業チームを立ち上げるところまでをご支援していきます。

結果的に、「リーン・スタートアップ」に近い形で事業を立ち上げることになります。

実務を通じて、従来の「開発する→売る」という思考スタイルを、「課題と解決策の仮説を立てる→検証する→開発しながら徐々に売る」という思考スタイルに変革することが目的です。

 

「座学の研修やワークショップでは、スキルはなかなか身につかない」というのは、前職の日本IBMで人材開発マネージャーを務めていた際にも、ジレンマとして実感し、常にチャレンジしてきたことです。

そこでオフィス永井では、単なる研修に終わらせずに、実務に直結した形で研修を実施しています。

いわば、戦略を学ぶための「戦略研修」ではなく、実務を通じて企業の考え方を戦略的に変えていくための「戦略的研修」なのです。

 

従来のマニュアルに基づいた研修ではないので、個別のお客様毎に企業戦略や課題を理解した上で、徹底的なカスタマイズが必須です。

従来の研修と比べてかなりの手間とスキルが必要になります。結果的に数を絞ったお客様企業へのご提供になります。

 

あらゆる場面に適用できる方法論ではありませんし、従来のコンサルテーションを完全に代替できるものでもありません。

しかし一方で、「人の考え方を変革すること」が、企業変革の大きな壁となっていることも事実です。逆にこの壁が突破できれば、様々な企業の課題も解決できるのです。

「戦略的研修」は、変革を目指す企業にとって、現実的な解決策の一つになりうる、というのが現在の実感です。