なかなか売上が上がらない時、こんな意志決定がされること、ありませんか?
・「問題の本質」は、売れていないことだ
→だから、営業戦力を増強するのだ
….ということで、例えば技術者をセールスに異動したりして、セールス部隊の増強を図る。
でも、必ずしもこの施策で売れるようになるとは限りません。こうなると、
・「問題の本質」は、売れていないことだ
→だから、営業戦力を増強する
→売上は一時的に上がったが、すぐに、さらに売れなくなった
→やはり、「問題の本質」は、売れていないことだ
→だから、もっと営業戦力を増強する
→さらに、案件獲得のために尻を叩く
という形になります。
でも、ますます売れない。
「営業力強化、悪魔のループ」です。(勝手に命名しました)
何でこんなことが起こっているかというと、「課題」を「問題の根本原因」にすり替えているために起こっています。
「売れていない」ことは課題です。
でも「売れていないこと」は、「問題の本質」ではありませんし、「問題の根本原因」でもありません。
確かに、営業力を強化すると一時的にカンフル剤的に売上は伸びるかもしれません。
しかし、「売れていない根本的な原因」は、販売活動プロセスの中にはないかもしれません。
だとしたら、セールスの活動を細かく洗い出しても、原因は見つかりません。
顧客から見た、ビジネスプロセス全体の中で、考えていく必要があります。
例えば、売れていないのは、セールスが原因ではなく、顧客に対する技術支援力が低下し、顧客満足度が下がり、次第にボディブローのように効いてきて、既存顧客が離反していることが原因かもしれません。
この状況を知らずに、技術者をセールスに異動すると、….技術力はますます弱体化し、顧客満足度はさらに下がり、さらにボディブローが効いて、既存顧客の離反に拍車がかかり、売上はさらに下がり続けます。
こうなると、なかなか回復は難しいのです。
昨年、こちらの記事で、肩凝りの原因究明を例に、対症療法と根本療法の違いについて説明しました。
簡単に説明すると、肩凝りの原因を血行が悪いためと考えてマッサージに行っても、また肩が凝ってきます。これは、肩凝りの根本原因を解決していない対症療法です。
血行が悪い理由をさらに深掘りし、「身体を動かしていないから」→「それは、デスクワークが多いから」と考えて、就業時間後に定期的に運動し、肩凝りが起こらないようにするのが、根本療法です。
根本的な原因をしっかり捉えて、根本療法を行い、「営業力強化、悪魔のループ」に陥らないためには、現状否定が必要な場合も多いのです。
だから、難しいのですよね。