「『価格勝負でなく、価値勝負』なんて理想論に過ぎない。現実は価格勝負でやらざるを得ない」?


「100円のコーラを1000円で売る方法」のテーマは、本書のオビに書かれている一言に集約されています。

「価格を下げるな、『価値』を上げろ。」

 

現在、多くの企業がコストを削って価格勝負しています。

しかし価格勝負で勝って、かつ収益も出せるのは、業界の中でシェアが一番大きいリーダー企業1社だけ。リーダー企業は生産量が一番大きく経験値も高いため、コストリーダーシップを握っていて、一番安く作ることが出来るからです。

リーダー以外の企業は利益を削っているので、価格勝負しようとしても長続きしません。

ですからほとんどの企業は、価格勝負ではなく価値勝負に持ち込まなくてはいけません。

 

一方で「価格勝負でなく価値勝負なんて理想論に過ぎない。現実は価格勝負でやらざるを得ない」という意見が多いのも事実です。

しかし、一度自分が商品を買う時のことを考えてみると、別の視点が見えてくるかもしれません。

 

私たちが商品を買う場合、安い商品だけを買っているでしょうか?

 

確かに安い商品を選ぶことは多いと思います。しかし気に入れば、少々高くてもよろこんでお金を払うケースもある筈です。

ではなぜ、そうしているのでしょうか?

それはその商品が自分の価値観やニーズに合っていて、かつ他に代替品がないからです。そしてそのような商品は、顧客のことを徹底的に理解していたり、あるいは自ら市場を切り開いてその市場でダントツのシェアを握っています。

顧客の期待に応えるだけに終始し価格勝負から抜け出せないままになるか、顧客の言いなりにならず顧客の期待を超える価値を提供するか。

本書に書いた「バリュープロポジション」とは、それを説明する考え方です。

顧客が求めており、他社が提供できない、自社だけが提供できる価値のこと。

これを実現するためには、顧客を徹底的に絞り、顧客を徹底的に理解し、他社が提供していても自社が対象とする顧客が必要としないのであれば捨ててしまう潔さが必要になります。

 

捨ててしまうのは勇気が必要です。

「理想論」という多くの場合は、この捨ててしまうことができないのです。

自分のことを考えてみてもなかなか難しいことです。

しかし「割り切り」ではなく「ハラ決め」して進めたいですね。