三谷宏治著「経営戦略全史」は、マーケティング理論の体系的な百科事典


三谷宏治著「経営戦略全史」を読了しました。

本書は、19世紀に生まれた大テイラー主義と言われている「定量的分析」、および大メイヨー主義と言われている「人間的議論」の二大潮流から始まって、アンゾフ、ドラッカー、チャンドラー、ポーター、コトラー、さらにはハメル、野中、バーニー、ミンツバーグ、キャプラン、キム、クリステンセンなどを経て、最新のアダプティブ戦略までを、非常に分かりやすくかみ砕いた壮大なストーリーに展開しています。

知的興奮を大いに刺激されました。

 

同時に私自身、本書で大きな学びもいただきました。

私は「本来のPDCAは、らせん的発展を実現する、学びのプロセス」「現代では、3ヶ月の完璧な企画よりも、半日の仮説を即実行・検証」と考えていますが、この考え方は、アダプティブ理論の視点で展開させると、さらに可能性が広がりそうです。

 

ミンツバーグ著「戦略サファリ」は、世の中の様々なマーケティング理論を10の学派に分類して紹介しており、網羅性と理論の深掘りがともに高い点で名著です。

この「戦略サファリ」と本書を比較すると、各理論の繋がりをとても分かりやすく提示しているという点で、本書は優れていると思います。

マーケティング理論を体系的に紹介した、まさに百科事典と言えるのではないでしょうか。

 

本書の中でも、ミンツバーグの「戦略はパターン化できない」「状況次第で組み合わせよ」という言葉が紹介されています。このミンツバーグの言葉も、数多くある理論の一つではありますが、私も深く共感する言葉です。

本書で紹介されている核理論の全体像と位置づけを理解すると、普段の仕事で役立てることができるのではないかと思います。