今、「ものづくり」一辺倒から脱却した、「価値づくり」(ことづくり)が求められている


2012/05/31の日本経済新聞の記事『「価値づくり」で競争力強化、産業技術会議が中間報告、人材の開国など5提言』で、産業技術総合研究所主催の「日本を元気にする産業技術会議」の中間報告「“もの”、“こと”、“ひと”づくりで日本を元気にしよう!」が紹介されていました。

中間報告は5つの提言をしていますが、その中で一つ目をひいたのがありました。

—(以下、引用)—-

ものづくり一辺倒から脱し、新しい価値づくり(ことづくり)重視への転換を目指そう 日本企業はものづくりの強みに価値づくりを加えるビジネスを目指し、研究開発段階から問題意識を転換すべきだ。

—(以上、引用)—-

これはとても重要な提言だと思います。

 

もともとは、「ものづくり」の原点にあるのはお客様でありユーザーです。

ホンダ創業者・本田宗一郎さんが現場の第一線で開発を陣頭指揮されていた頃、安全性に問題ある設計をしたエンジニアを「お客様に万が一のことがあったらどうするんだ!」とスパナで頭をぶん殴った、というエピソードが数多く残されています。

ものづくりを大切にしていた本田宗一郎さんの視線の先には車に乗るユーザーがあり、ユーザーにとっての「価値づくり」を常に考えておられたことが、この逸話からも分かります。

 

しかし最近は、「ものづくり」という言葉で「ものをつくる人の思いが大切」と考えてしまう傾向もないとは言えません。

むしろそのような傾向が強まってしまっていることが、「失われた20年」を生み出しているのかもしれません。

 

記事を読んで、「ものづくり」一辺倒から脱して「価値づくり」(ことづくり)という原点に戻ることが、今こそ必要なのではないかと思います。