林總著「成果が出ないのは、あなたが昔の『燃費の悪いアメ車』な働き方をしているからだ」を読了しました。
本書は、会計視点での経営変革を考えていく物語です。
「ドラッカーと会計の話をしよう」で、見事にイタリアンレストランのオーナーが抱えていた問題を解決した、経営者であり経営コンサルタントでもある西園寺周作が、本書でも登場します。
今回は、経営破綻の危機にある病院が舞台。主人公は病院の経営立て直しに挑戦する医師です。
「病院は非営利組織だから、赤字でもしかたない」
「理事長の儲け主義には反対だ」
「最高の医療を提供すべきだ」
と考えている主人公に対して、そもそも病院のミッションは何か、「患者視点」で現在病院で行っていることは正しいのか、ということを、ドラッカー+会計視点で鮮やかに解きほぐしていきます。
本書では特に、知識労働者のあり方についても切り込んでいます。
ドラッカーの言葉を引用しながら、知識労働者はコストではなく資本財と考える必要があり、量ではなくまずは質で中心に据えて考えていくことが必要である、と述べています。
「患者の視点で、病院の価値は何か?」ということを考え抜き、量での勝負ではなく付加価値をいかに生み出すかということを考えていくと、やるべきことが変わってきます。
「病院」という、誰でもお世話になる舞台で、実際の数字を使って説得力のある解決策を展開しています。
自分の仕事における使命と、生み出すべき価値、仕事のやり方などを考え直してみたい、という人にとって、本書はよいきっかけを与えてくれます。