「また会いたい」と思わせる、海外とのビジネス・コミュニケーション


本日(6/19)の日経産業新聞の記事『海外での商談信頼から、心をつかむ振る舞いや話題――「また会いたい」と思わせる』では、欧米以外の地域に赴任する際に必要な振る舞いや話題・知識を紹介しており、大変参考になります。

—(以下、引用:一部省略)—

中国編:訪問先の町の歴史や、そこから登場した歴史上の人物や政府幹部など現代の大物を理解しエピソードを披露すると、相手のこちらを見る目が変わり、親交も深まる。

シンガポール編:日本と同様に国土や資源に恵まれない環境下で経済発展を目指しており、日本企業の活動への興味が強い。また、日本のポップカルチャー関連のネタも盛り上がる。また、最低限、第二次世界大前後の歴史は知っておくべき

中南米編:なぜ日本が敗戦後に急成長して経済大国になれたのかという点への関心が高い。日本の近現代史に詳しい人は取引先からも割と早く信頼される。また、ブラジルでは日本以上に上司と部下のけじめが厳しいので注意。ただし、ブラジルとアルゼンチンはライバル関係にあり、話題にする時は慎重を期すべし

中東諸国編:むしろイスラム教圏で積極的に宗教を話題にする。相手の生活や文化への強い関心が伝わる。かつて同地で栄えた古代文明に関する話題も、我々の関心として受け取られる。

—(以上、引用)—

相手の国の興味と、日本という国の理解、特にアジアでは第二次世界大戦の歴史を理解していく、ということですね。

日頃の心がけでなんとかなるのではないでしょうか?

ところで、この記事を読んで思い出したのが、昔の私の上司です。現在、ある会社の社長をなさっています。

この人のコミュニケーション力は、世界レベルで見ても達人レベルなのではないでしょうか?

短い時間で相手からの信頼を得て、win-winの交渉を勝ち取ります。

当然、英語はバツグンに上手ですが、それだけではありません。何よりも凄いのが、話題が豊富さ。半端ではありません。

様々な国の人達に合わせて、現地の話をします。それも、その方の出身地について、そこに行った人でなければ分からないレベルで話します。

初対面の会議の冒頭、10分程度の会話で相手の出身地に関する話題で盛り上がり、相手の心をしっかり掴みます。相手は心を開いた状態で会議を行います。

まさに、相手に「また会いたい」と思わせる、そんな感じです。

夜の宴会等では、これがさらにレベルアップして、「あなたもよく知っているあの町の、あそこの通りにある、あの店の××××パスタはうまい。結構空いているし、是非行ってみるといいですよ」といった感じになります。

これだけ話題が豊富な秘密ですが、実は、この人は休暇になるたびに、世界中を旅行しています。

一度、「既に、世界のほとんどの国を旅行されたのでは?」という質問をしたことがあります。返ってきた答えは、

「いや、それ程じゃないよ。60カ国くらいかな? まだまだ他にも行きたい国があるし」

ツアーコンダクターではなく普通のビジネスマンで、60ヶ国に出かけたことのある人というのは、そうはいないのではないでしょうか? しかも、行ったときのことを非常によく覚えています。

「世界のあらゆる場所に行きたい」という猛烈な好奇心を持っているこの人だからこそ、できることなのかもしれません。

この人を見ていると、「非常に高いレベルのスキルは、もはや個性である」と実感します。