我々は、ちょっとした心配事があったり、妙に目が冴えたりして、なかなか眠れないことがあります。この不眠は、人によって大きな悩みですね。
しかし、心配や気がかりがあると眠れないというのは、人間の本来の姿のようです。
本日(2/18)の日本経済新聞の記事「睡眠を知る」で、4年前にヴァージニア工科大学の歴史学者エカーク博士が研究した結果が紹介されています。
—(以下、記事の抜粋)—
都市や国が人々の安全を守り機能を十分に持っていなかった近代国家が成立する前の時代まで、夜は通常の人々にとって極めて危険な時間帯だった。決してゆっくりと疲れをいやす時間ではなかった。
オオカミなどは飼っている羊を狙ってる。治安が十分ではなく盗賊も多かった。都市間の争いもあった。一家の主人は物音がしたらすぐ起きられないと一家の生命と財産を守ることができなかった。
こうした状況で、心配や気がかりなことがあると眠れないという人間の特徴は、生き抜くための重要な戦略であった。ぐっすり眠れない人の方がしっかりと一家の生命と財産を守ることができた。
—(以上、記事の抜粋)—
ただ、例外もあって、朝から晩まで過酷な労働に従事させられた人々は、休息に充てられる時間が極端に短かったために、夜間は死んだようにぐっすり眠るのが普通だったという記録も残っているそうです。
今でこそ、カギの掛かった、適度な温度に保たれた室内の布団やベットで、我々は熟睡できるようになりましたが、これは人類の歴史から見ると極めて最近のことなのですね。
しかし、記事を見る限り、眠れないのは財産を所有し守る責任を持っている人達で、持たざる人々は守る財産もないので眠ることができた、というように読むこともできます。
….ううむ、どっちが幸せなのでしょう?
そう言えば、食べ過ぎたカロリーを脂肪として蓄積してしまうのも、歴史的に飢餓の危険に対処する自己防衛として身につけた機能だそうです。
現代人が持つ悩みというのは、まさに現代だからこそ発生しているものということのようですね。