英エコノミスト誌6月9日号が、アップルのイノベーションについて特集記事を書いています。
6/28の日刊工業新聞のコラム「産業春秋」では、この特集で浮かび上がったポイントとして、下記の4つを挙げています。
- 外部の優れたアイディアを採用する
- 使い勝手や見た目のシンプルさをとことん追求
- 時には市場の声を無視する
- 失敗から賢く学ぶ
3番目「時には市場の声を無視する」という点が、ある意味でアップルの凄さだと思います。
特に、「時には」というキーワードが入っているところが、深みのあるところです。
言うまでもなく、「市場の声を無視する」企業は、発展することができません。アップルも、お客様の声を非常に大切にしている企業であると思います。
一方で、クレイトン・クリステンセンは「イノベーションのジレンマ」で、市場のリーダーが新興企業に負けるのは、リーダー企業が既存のお客様を大切にして、新しい市場のニーズにタイムリーに応えられないからである、と述べています。
新製品やサービスでイノベーションを起こす場合、時には市場の声を理解した上で、あえて無視することも必要な場合があります。
このようにアップルは、「時には市場の声を無視する」という文化を組み込むことで、このジレンマを巧みに避けているのではないでしょうか?