昨日(9/19)の日刊工業新聞の記事「自立型中小企業を目指して 19 中小企業の有利性」で、専修大学の黒瀬直宏教授が中小企業ならではの強みについて書いておられます。
—(以下、引用)—
…中小企業では、大企業のように組織やシステムが客体化し、人がそれらに付属しているのではなく、人がそれらを支配している。従業員は組織の都合より顧客の都合を優先でき、顧客からさまざまな「生データ」を取り入れる余地がある。だから、情報を豊富にキャッチできるフェイス・トゥ・フェイスでの顧客との接触が活かせる。…..フェイス・トゥ・フェイスが情報発見の武器なのだ。
(中略)
中小企業は従業員規模が小さいから、全員が同時に同じ場所にいることができる。「身体的近接性」という物理的理由から、社内におけるコミュニケーションの主要媒体はフェイス・トゥ・フェイスとなる。….幸い、中小企業は組織が単純なので、内部障壁がない。このため自由にフェイス・トゥ・フェイスによるコミュニケーションを行える。
—(以上、引用)—
今まで何となく感じていた、大企業が持っていない中小企業ならではの強みを明確に述べたメッセージだと思います。
社内でITを実装する場合も、「コミュニケーションの基本はフェイス・トゥ・フェイスである」という前提を考慮し、フェイス・トゥ・フェイスの強みを活かした実装を行うべきなのでしょう。
大企業向けソリューションを、アプリケーションレベルの仕組みをそのままにして規模を小さくしても、中小企業でなかなかうまく活かせない理由も、この辺りにあるのかもしれませんね。
一方で、中小企業がより大きく成長していく際の課題は、逆にフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションからいかに組織やシステムによるコミュニケーションにシフトしていくか、という点にあるように思います。