クレイトン・クリステンセンは、「イノベーションのジレンマ」で、
「(業界リーダーの座を失った優良経営企業は)…顧客の意見に耳を傾け、顧客の求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益率の高そうなイノベーションに投資したからこそ、リーダーの座を失ったのだ」
と語り、資金・人材・資源等多くの面で有利な立場にある有力企業が、破壊的イノベーションを持って参入してきた新規参入企業に敗れる理由を様々な観点で探っています。
さらに、有力企業が成長を続けるために、いかにして破壊的イノベーションに対処すべきかも述べています。
市場調査は過去のある時点における市場のスナップショットは提示してくれますが、市場の将来は必ずしも過去・現在から線形で繋がっている訳ではありません。破壊的イノベーションにより、市場には大きな断層が生まれます。
従って、現在の市場を理解するだけでなく、将来への洞察力も必要です。
その観点では、ヘンリー・ミンツバーグが述べた『戦略思考の「視点」』
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は、マーケティング・マネージャーに対して極めて重要な示唆を与えていると思います。
勝海舟は、幕末動乱期の諸藩興亡を見て「忠義の士、国を潰す」と 語ったそうです。
ある場面では、マーケティング・マネージャーは敢えて信念をもって「嫌われる」役割を負うことも必要なのでしょう。(自戒もこめて)