ダイエット事件で考える、正しいマーケティング・コミュニケーションのあり方


8/25の日本経済新聞の記事で、「履いたり座るだけでやせる」と過大なダイエット効果をうたってサンダルやクッションを販売した会社に、経済産業省が業務停止命令を出した、というニースがありました。

「サンダルを履くだけで足裏のつぼが刺激され脂肪が燃焼する」
「クッションに座るだけで骨盤のゆがみを整え肥満の根本原因を解消」

と宣伝していたそうですが、経産省が根拠を示すよう求めたところ全く提出しなかったそうです。全国の消費者センターなどには数十件の苦情が寄せられていたとか。

本来、「痩身」という意味でのダイエットを行うためには、運動したり、食事に気を配ったり、という何らかの主体的な努力が必要なはずです。

「xxxしただけで」というのは消費者にとって魅力的な誘い文句ではありますが、このようなものは本来はあり得ないと考えるべきなのかもしれません。

この記事を見て思い出したのが、以前、米国に出張した時のこと。

国内線に乗ったのですが、隣が米国人の基準でも割とふくよかな米女性で、席に着くなりポテトチップスの大袋を空けて猛烈な勢いで食べています。

フライト・アテンダントが「何になさいますか?」と尋ねたところ、

「ダイエット・コーク・プリーズ」

その時は、「は? こんなに沢山食べているのに、今さらダイエット・コーク?」と思いましたが、後でよくよく考えてみると、「ダイエット・コークを飲めばダイエットできる」と考えているのかもしれない、とも思いました。

言うまでもなく、ダイエット・コークやダイエット・ペプシは通常のものと比べてカロリーが非常に少ないだけで、食事を沢山食べてもダイエットできるということではありません。

ちなみに、コカ・コーラのホームページを見ると、今の商品は

「ノーカロリー コカ・コーラ」
「コカ・コーラ ゼロ」

になっています。商品名的には、この二つの商品は非常に的確に商品特性を消費者に伝えていると思います。

今回のサンダル・クッションの事件と、コカ・コーラの見事な商品名の付け方を見て、今後はより正しく商品の特性を消費者に伝えていくマーケティング・コミュニケーションがますます求められていくのではないかと考えた次第です。