黒船家電メーカー vs. 日本家電メーカー。ポイントはマーケティング思考 vs. ものづくり思考


2014/7/2のNHK News Watch 9で、「“黒船家電”続々と日本市場に」という特集がありました。

NHKのサイトでも、本特集が動画で公開されています。→リンク

ここで言う黒船家電とは、海外メーカーが開発・販売する家電のこと。

国内家電メーカーが得意とする日本の家電市場ですが、いま、世界で3番目に大きなこの市場に海外メーカーが次々と商品を投入、成功させています。

・アイボットのお掃除ルンバ、床拭きロボット・ブラーバ
・ダイソンの掃除機
・ダイソンの羽なし扇風機クールファン

 

番組では、二社に取材をしていました。

一つは、家庭用製麺機を開発した、オランダのフィリップス

この製麺機では、小麦粉・塩・水を入れるだけで、うどんの生麺が10分で完成します。パスタやうどんも作ることができます。

この製品開発を担当したのは、フィリップス日本法人に在籍する製品企画担当者です。

開発に先立ち、徹底した市場調査を実施。週1回以上麺を食べている人が全体の90%いる一方、自宅で手作りする人は3%しかいないことがわかりました。

そこで、「自動製麺機を提供すれば、新たなニーズを掘り起こし、97%に食べてもらえる」と考えました。そしてフィリップスのグローバルの製品開発部門と一緒に製品を開発しました。

 

もう一つは、三菱電機の家電開発部門。

日本の家電メーカーは、これまで高い技術力を活かして多機能さに重点を置き開発してきました。長年、市場が多機能さを求めてきたためです。

一方で、海外メーカーが機能を絞り込んだ製品を出してきていることに、強い危機感を抱いています。

「黒船家電があそこまでブレイクするとは正直予想していなかった。旧態依然としたものづくりや提案の仕方ではまずい」

という責任者の言葉が紹介されています。

そこで20−30代の若手技術者の育成を始めています。番組では、エンジニアが集まり、「消費者が本当に臨む製品は何か?」を考える会議が紹介されていました。

ある若手エンジニアは「手を使わなくてもセンサーでふたが空く炊飯器」というアイデアを出しました。このアイデア出し重ねて、製品開発の発想を根本から変えていこうと考えておられます。

 

番組記者の野口恭平さんはブログで、このように書かれています。

–(以下、引用)—

エンジニアの方たちはひと言で言うと「実直」。….細部にわたる改善で、新型モデルを毎年のように市場に投入してきました。ただ、専門家は、過去の成功にとらわれすぎて、前例を踏襲することで、斬新なアイデアが生まれにくいと指摘しています。

–(以上、引用)—

 

一方で私が番組を見ていて感じたのは、マーケティング思考で商品を企画するフィリップスに対して、あくまでものづくり思考で商品を考える三菱電機の違いです。

フィリップスは、マーケティング思考でいかに新市場を創り出すかを考え、自宅で麺を作って食べる」という新たなニーズを掘り起こし、顧客を創造しようとしています。これを考えているのは、マーケティング発想をする製品企画担当者です。

一方で三菱電機は、番組で紹介されたアイデアは、ものづくり思考による既存製品群の改良・改善です。ユーザーにとって改良・改善は大切です。しかし新たな顧客を生み出しているわけではありません。そしてアイデアを考えている若手は、ものづくりに邁進するエンジニアです。

「マーケティング発想」「ものづくり思考」の間には、大きなギャップがあります。

 

かつて日本の家電メーカーは、ウォークマンやトランジスタラジオ、液晶ビューカムなど、独創的な製品を開発し、市場を創造してきました。本来、日本メーカーもマーケティング発想の能力を持っているはずです。

実際、フィリップス日本法人で自動製麺機を企画した人も、熱い情熱を持った日本人。

番組を見終わって、「ものづくり力がある日本メーカーが、マーケティング思考を取り戻し、マーケティング発想を持った人材を活用するようになると、日本の家電メーカーの競争力はより高まるのではないか?」と思いました。