ワインボトルを変えたら、CO2排出量&物流費が半分に!


写真は https://packamama.com より

実は私、お酒を飲みません。 以前は少々たしなんでいましたが、飲まなくなってもう10年ほど経ちました。

飲んでいた頃はワインを買って飲むこともありました。ワインの問題は、ボトルです。店で買って家に持ち帰る際の重いこと。しかも割れやすいし、かさばりますよね。いつも持ち帰りが大変でした。

現在のガラス製ワインボトルは、17世紀に英国で生まれた丸いボトルが原型(写真の左)で、19世紀にフランスのブルゴーニュとボルドーで現在の形状(写真の真ん中)が生まれました。

21世紀なのに、私たちは19世紀のボトルを使っているわけです。

2022年7月24日付の日経産業新聞の記事「平らなワインボトル、豪で新風」で、この世界を変える挑戦を紹介しています。

オーストラリアで、平たくて軽いプラスティックのワインボトル(写真の右)が普及を始めているのです。

英国企業パッカママが開発したもので、厚みは3.5cm、重さ63グラム。店の同じ棚面積に2倍の本数を並べることができます。さらに空間をムダにせずに並べられるので、運送用物流パレットに搭載できる本数は通常のワインボトルの2倍。物流費高騰の今、これは有り難いですね。

同社CEOによると、ワインのカーボンフットプリント(CO2排出量)の68%は、ボトル由来だそうです。

新ボトルでワインの品質を保てるのは、19ヶ月間。ボトル内で熟成させる高級ワインには向きませんが、値ごろ感重視のワインであれば物流コストを大幅に削減できます。

記事で書かれているのは以上ですが、ガラス製のワインボトルの問題は他にもあります。捨てるのが大変です。家でパーティなんかしようものなら、大量の空き瓶を捨てるのは重労働です。さらにそんな空き瓶を回収するのにもコストがかかるわけです。

レストランの裏口にワインの空き瓶が大量に溜まっている…なんてこともなくなります。

このように考えると、先進テクノロジーは一切使っていませんが、これは素晴らしいイノベーションですね。

同社はワイン小売をしていましたが、重さと形状が物流上の悩みの種。そこで自社商品向けにエコフラットボトルを開発したそうです。

世の中に大きなインパクトを与えるイノベーションのヒントは、意外と私たちの身の丈の悩みの中に転がっていることを、改めて教えてくれる取り組みだと思います。

 

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