おかげさまで「100円のコーラを1000円で売る方法」全3巻が揃いました。
このシリーズは、この20年間低迷を続けている現代の日本企業にとって必要と思われる様々な考え方をまとめたものです。
実は先日、「このシリーズの読み方をガイドして欲しい」とのご依頼をいただきました。
そこで、その際に作ったガイドを一般向けに手直しして、各3巻の内容をふり返りながらご紹介させていただきます。
■第1巻のテーマは、「顧客中心主義への回帰」
古くは江戸時代から、日本企業は顧客中心主義でした。しかしバブル崩壊後の20年間は、顧客 の言いなりになって価格競争に陥り、低収益にあえいでいます。そこで第1巻ではマーケティング戦略の基本に立ち戻り、意外と忘れがちな顧客中心主義の考え方について書きました。
「顧客は100円のコーラも1000円のコーラも同じ液体であることを知りながら、喜んで1000円を払うこともある」というエピソードは、この第1巻でご紹介しています。
「100円のコーラを1000円で売る方法」というタイトルは、「顧客価値を徹底的に考える」という本シリーズを通じた考え方を象徴したものなのです。
■第2巻のテーマは、「成功体験からの脱却」
「稟議」に代表される日本企業の網羅思考は、組織全体の方向性を合わせ組織力を発揮する上で、 高度成長期には無類の強みを誇りました。しかし大きな変化が継続的に起こるようになった現代、これが逆に弱みになってしまっています。そこで必要なのが、網羅思考から仮説思考・論点思考へのシフト。そこで第2巻ではビジネス戦略について書いています。
第2巻ではさらに競争戦略などもカバーしています。
■第3巻のテーマは、「イノベーションとリスクへの挑戦」
今、日本全体が「イノベーションのジレンマ」と呼ばれる状況に陥っています。そこで第3巻では、イノベーションがなぜ必要なのか。現状に安住しリスクを取らないことが、いかに破滅的な危機を招くのかについて書いています。
個人的には、クレイトン・クリステンセンの名著「イノベーションのジレンマ」シリーズについて、世の中で一番わかりやすく解説した本だと自負しております。(笑)
全3巻で一貫したテーマは、「顧客中心主義の徹底」。すべて顧客が出発点です。
どれも現代のビジネスパーソンにとって知っておくべき内容です。
すべて学ぼうとすると各3冊の巻末参考文献にも挙げたように合計100冊近くの膨大な書物を読破する必要があります。本シリーズでは、この内容を1冊で2時間、3冊でも6時間程度で読める内容に凝縮しています。
短時間で読める理由は、エッセンスを絞り、かつストーリー形式にしているからです。ストーリーで伝えると、伝えたいエッセンスがより確実に伝わるのです。
ちなみに、聖書が太古から語り継がれたのも、これとまったく同じ理由です。人はシンプルで面白い物語をしっかりと心に留めるようになっているのです。(しかも大昔は、世の中に面白い物語はほとんど存在しませんでしたので、キリスト教は世界に広まりました)
このように本シリーズは、100冊近くの膨大なビジネス書のエッセンスを、軽い物語形式でサラッと読めるように凝縮しているのが最大の特長です。
しかし場合によっては、逆にそれが最大の欠点にもなり得るのです。
あまりにも「サラッと」読めてしまうがために、単に流し読むだけでは、自分の立場に置き換えた場合の ふり返りが未消化のまま終わってしまい、何も残らない結果となるのです。
そこでより確実に定着するために、次のようにお読みいただくことをご提案します。
本シリーズで書かれていて気に留まった場所を、ご自分の今の仕事で置き換えるとどのような意味になるのか、そして今日からのご自分の 仕事で具体的にどのように活かすのか、ご自身の言葉で置き換えて、実際に文章に書き出してみるのです。
それほど長い文章である必要はありません。数行で十分です。ただし自分の言葉で実際に書き出すことが大切です。そして「これは活かせる」と思ったことを、実際に今日からの仕事に使ってみるのです。
本から得たことを、日々の仕事の取り組みに反映してさらに考えてみることで、ご自身の考え方や見方が徐々に変わり、日々の行動で活かせるようにな るはずです。
本書は一巻あたり10個、合計30個のストーリーで構成されていますので、例えば毎日一つストーリーずつ書き出すと、1ヶ月間で全3巻の30ストーリーを、ご自身の体験に置き換えて書き出すことが出来ます。
本書が皆様の仕事でお役に立てば、とても嬉しく思います。