ビジネス書編集者でこうおっしゃる方が、意外とおられるようです。
「まず企画段階で、著者に『はじめに』を書いてもらいます」
うう…。私は真っ先に落とされそうです…。
というのは、私が『はじめに』を書くのはいつも最後の最後なので。
今月出版した「MBAマーケティング必読書50冊」もそうでした。 「はじめに」を書いたのは、50冊分の紹介を全て書き終え、「おわりに」も書き終えた後。 しかも何回も書き直しました。
今回の「はじめに」は合計4ページ。
後半2ページは2〜3回の書き直しでほぼ固まりました。
大変だったのが、最初の2ページ。ゼロから書き直すこと5〜6回。それでも決まらず、バージョンを2つに絞り込み編集者と何回も打ち合わせ。
「ヤバイ。決まらない。見切り発車か?」
…なんて考えも頭をよぎりつつ、また書き直し。
最後の文章は、第三校の校了時(3回目の校正を完了して、印刷機を回す直前)に決まりました。 快く「納得いくまで時間をかけてください」とおっしゃっていただいた編集の皆様には深く感謝です。
なぜこんなに「はじめに」で時間をかけるかというと、ビジネス書の場合、「はじめに」の出来次第で売れ行きが大きく左右されるからです。
書店で観察していると、店内をブラブラと歩くお客さんはこんな感じで本を選んでいます。
①面白そうな本を見つけて、手に取る→表紙やタイトルで判断
②パラパラとめくり「本の感じ」を見る→面白そうか否か、印象で判断
③「はじめに」にサーッと目を通す→著者と自分との相性を判断
④最初の十数ページにサーッと目を通す→本当に読み通せるか、面白いかを判断
⑤納得すると、レジに持っていく→ここでお買い上げ
つまり「はじめに」で本のエッセンスを訴求しないと③の試験をパスできず、落第(=買われない)です。
難しいのは、当たり前のことを書いてもスルーされると言うこと。
「マーケティングは重要です。皆さん学びましょう」
「はじめに」にこんなことを書いても、「当たり前だろ。おととい来やがれ」と言われるのがオチです。(もちろん皆さんは、こんな下品な言葉は絶対に口に出しませんが(笑))
ではどうするか?
「単純明快、意外性があり、具体的で、信頼でき、感情に訴求する物語」をわかりやすく訴求することが必要なのです。
ですのでいつも全てを書き上げた後に、本の内容を踏まえ、四苦八苦しながら「はじめに」を書き上げます。
今月出版した「MBAマーケティング必読書50冊」の「はじめに」も、そうして書き上げました。
果たして、狙い通りになったでしょうか?
発売から10日が過ぎて、読者の皆様からの声をドキドキしながら待っている所です。
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