2012/6/25の日本経済新聞で、編集委員の西條郁夫さんが「経営の視点 日航再生の明と暗 格安航空、意外な勝者に」という記事で、日本航空の経営再建について書かれています。
—(以下、引用)—
….一方で再生の果実を得るのはだれか?
(中略)
もう一つ、見逃してはならない「意外な勝者」がいる。航空市場の人材流動性の低さに悩んできた新興の航空会社だ。….日航のリストラで100人以上の人材がスカイマークに移籍した。「ベテランの客室乗務員もいれば機長もいる。日航が人材を吐き出してくれたおかげで、当社の事業基盤が強くなった」とはスカイマークの幹部は言う。
長らく日航という城に囲い込まれてきた人材が解き放たれ、同社だけでなく他のLCCなどにも散らばった。それは航空市場の競争促進にも寄与するだろう。
米シリコンバレーが発展した一つの契機は、1990年初頭のIBMの大リストラだ。IBMを辞めた優秀な人材が西海岸の新興企業に大量に流れ込み、それがシリコンバレーを活性化した。
—(以上、引用)—
航空業界だけでなく、日本の労働市場全体は人材流動性が低いと言われてきました。
しかし、このように個人では大きな痛みが伴うリストラを契機にして、新しいイノベーションが起こるという面もあるのですね。
このような事例を見ると、人材流動性を高めて私たちが自由に仕事や勤務先を選べるようにする施策や社会インフラは、国の産業界全体を活性化する上でとても有効な方法なのだ、と改めて認識します。