新事業にこそ、活路がある:自社の強みと足りないスキルを見極め、新常識を既存市場に持ち込み、差別化を図る


昨日のブログ「業種転換のウソ・ホント…共通するのは、「強みの見極め」」の続きです。

 

日経ビジネス2015年3月2日号の特集「業態転換 常識のウソ・ホント 中小でも富士フイルムになれる」の掲載事例に共通するのは、自社のコア技術(強み)と、新事業で足りないスキルの見極めです。

それぞれの事例をまとめてみました。

■ブランチ
コア技術:建設業で培った店舗の施工・設計
従来製品:建設業
新製品:カフェ・コーヒー豆の輸入販売
足りなかったスキル:カフェ運営スキル
差別化ポイント:カフェ開業したいオーナーに、元建設業の経験を生かし、設計図面の段階から最適な設備を提案可能

■太田組
コア技術:建設業時代の道具。機械の扱い
従来製品:建設業
新製品:農業+自社栽培のタマネギ/ショウガ/ニンニクを原料とした焼肉のタレの製造・販売
足りなかったスキル:農産品の販売
差別化ポイント:自家製のたれのレシピ再現のため、機械扱い技術を活かし、専用の調理設備を導入。

■エアウィーブ
コア技術:ブラスティックス成形加工技術
従来製品:プラスティックス射出成形機
新製品:寝具
差別化ポイント:寝ている人の疲れを軽減できる

■ディージータカノ
コア技術:高い加工精度と設計力
従来製品:業務用ガスレンジの火力調節つまみ
新製品:省エネ機能付き水道部品
足りなかった技術:水関連技術。そこでエキスパートを結集
差別化ポイント:水の勢いを変えないまま水量を10分の1に節水

■幸和産業
コア技術:シルバーカーや車椅子で培った軽量化、安定化、タイヤの形状工夫スキル
従来製品:乳母車/シルバーカー
新製品:高齢者向け歩行器(介護補助対象商品)
足りなかった技術:販路。介護補助対象商品はGMSやスーパーでは販売していない
差別化ポイント:「重い」「不安定」「タイヤが溝にはまる」という3つの不満解消

■オオアサ電子
コア技術:液晶加工技術
従来製品:液晶表示装置加工
新製品:ハイレゾスピーカーやスマホ保護カバーガラス、タッチパネル式看板
足りなかったスキル:営業(ずっと下請けで来たため)
差別化ポイント:部屋のどこでも同じ音質で音楽を楽しめる全方位型スピーカー。ハンマーでも割れないiPhone保護ガラス。大手電機メーカーも販売

 

これらの事例は、市場参入前こそ門外漢ですが、門外漢だからこそ市場の常識に囚われずに新らたなスキル(自社の強み)を市場に持ち込み、学びながら足りないスキルを身につけて、新しい常識を生み出し、その結果差別化を実現しています。

新市場にこそ、活路がある

自社に当てはめて考えると、学びがあるのではないかと思います。

 

改めて感じるのは、様々な状況で新事業への転換を図っているということ。

オオアサ電子長田社長が「事業転換なんてきれいなもんじゃない。ドラマなら面白いかもしれないが、これほど苦しいことはなかった」とおっしゃっている言葉には、当事者しかわからない重みがあります。