星新一は、いかにして1000編以上の作品を遺したか?


昨日のブログの続きで、雑誌「Esquire (エスクァイア)」にあった言葉からです。

 

私が「本は面白い」と思い読書をするようになったきっかけは、星新一のショートショートと呼ばれる短編小説を読み始めてからでした。

星新一

 

星新一は、生涯で1000編の作品を残したと言われています。多作な人です。

その透明な文体から、泉が湧き出るかのようにスラスラと書いているように見えますが、実際には、艱難辛苦・悪戦苦闘の末、作品を生み出し続けたそうです。

 

先日読んだこの文章も、学生時代以来、久しぶりに読みました。

無から有を生み出すインスピレーションなど、
そうつごうよく簡単にわいてくるわけがない。
メモの山をひっかきまわし、腕組みして歩きまわり、溜息をつき、
無為に過ぎてゆく時間を気にし、焼き直しの誘惑と戦い、
思いつきをいくつかメモし、そのいずれにも不満を感じ、
コーヒーを飲み、自己の才能がつきたらしいと絶望し、
目薬をさし、石けんで手を洗い、またメモを読みかえす。
けっして気力をゆるめてはならない

 

この作業を1000回も積み重ねて、数え切れない珠玉の作品を生み出し続けた、星新一の凄さ。

不思議なご縁で文章を書くことが私の仕事の一部となり、著者の端くれとなった今、星新一のこの言葉は、重く感じます。