ある取材で、外資系企業と日本企業のマーケティング思考の違いについてインタビューを受ける機会があり、色々と考えることになりました。(「外資系企業」の定義は、ここでは「海外に本社があり、日本でビジネスをしている会社」とします)
考えてみて改めてわかったのは、「外資系には外資系の良さがあり、日本企業には日本企業の良さがあり、大切なのは共通」という当たり前のこと。
日本に進出してくる外資系企業の多くは、本社レベルでしっかりとした戦略があります。
そして多くの外資系日本法人が悩むのは、日本市場へのローカライゼーション。この部分で日本法人と本社がお互いにコミュニケーションが円滑にでき、日本市場に合わせた展開ができた企業は成功しています。
その典型的な成功例は、1975年に日本IBM社長 に就任した椎名武雄社長時代の日本IBMでしょう。「セルIBMイン・ジャパン、セル・ジャパン・インIBM」というスローガンを掲げ、IBMの良さを日本市場に売り込むと共に、日本事業のプレゼンスをIBM全社に売り込み、ときに喧嘩のような状態になりながらも説得し、本社を動かしました。
現代では、日本の白物家電市場で元気ないわゆる黒船家電(ダイソン、アイロボット、エレクトロラックス)なども成功例ではないでしょうか?日本市場の顧客が「是非買いたい」と思う商品を展開し、グローバル展開を見据えて商品を磨き上げています。
一方で日本企業が得意なのは、顧客が買う理由を愚直に追求し続ける点。
セブンのあくなき仮説検証の追求は有名ですし、セブンカフェ、セブンゴールド・セブンプレミアムはその成果です。
中小企業では、徹底的にユーザー視点で考え続け、業務用ミラーでシェアNo.1のコミーのような企業もあります。
とは言え、現代では外資系企業と一括りにはできなくなりました。かつては外資系企業≒米国企業+いくつかの欧州企業でしたが、今や外資系企業は様々な国を本拠地にしており、価値観も多様です。またイーロン・マスクが率いるテスラやXスペースは、技術開発において日本企業が得意だったあくなき愚直な仮説検証を繰り返しています。
しかしいずれにしても、外資系企業・日本企業、いずれのケースでも、
「顧客の課題」+「技術の強み」→「解決策」(=製品)
を徹底的に追求している企業が、成功しているのは共通です。
結局大切なことは、どこでも同じなのだと思います。