成功体験の賞味期限が短くなっている。だから成功体験の否定力が重要


GEが、2003年には全社営業利益の56%を占めた金融事業の比率を、2016年に25%まで下げる方針を打ち出しています。金融事業からの事実上の撤退です。

その背景には、金融ビジネスの収益悪化と、GEの本業である製造業における「インダストリアル・インターネット」への自信があります。

 

かつて総合スーパー業界の優等生であったイトーヨーカ堂も苦しんでいます。セブン&アイの鈴木会長も、日経ビジネス2015/4/27-5/4合併号で、このように語っています。

「伊藤雅俊・名誉会長から受けた教育が伝統になってしまっている」

そして、伊藤会長以来の成功モデルであり聖域となっていたチェーンストアという考え方を否定しようとしています。

 

日本のIT業界では、この7-8年、クラウドによる既存ITビジネスモデルの破壊が喧伝されています。

しかし一方で、ITサービスや製品を提供側の企業とお話ししていると、かつて成功体験であったSI受注型モデルの発想からなかなか脱却できない企業も多いように感じています。

 

成功体験には賞味期限があります。いつの間にか食べられない状態になっています。

賞味期限Dollarphotoclub_44931774 のコピー

そして変化が激しくなっている現代、賞味期限はますます短くなっています。

かつて栄華を誇っていた恐竜が徐々に数を減らして大絶滅したように、成功体験に溺れた企業も新しい成功体験を得た企業に淘汰されます。

 

かつての成功体験を、いかに否定するか?

GEやセブン&アイのような巨大企業では、成功体験は全社の津々浦々まで染み渡っています。業界レベルでも同様です。

そして人の行動を変えるのは、一朝一夕には進みません。それは成功体験が各自の頭の中に存在しているからです。成功体験は、忘れることはできないのです。

仮にトップが「このように変われ」と言っても、そして頭ではわかっていても、成功体験が染みついているために、日々の行動を急激に変えるのはなかなか難しいのです。

だからこそ企業変革にあたっては、トップが明確に目指すべき方向性をメッセージとして出し続けると共に、経営戦略やマーケティング戦略だけに留まらず、業務変革戦略・人事戦略・人材育成戦略・オペレーション戦略などとシームレスに連携しながら、新しい成功体験を作っていく方向に持っていくことが必要であると、ますます感じています。