私が新社会人になった1980年代、多くの若者が
大卒→新卒就職→出世競争→部長→退職
が成功パターンだと考え、企業に就職しました。そして新入社員として入社した同期が並んで一斉に出世競争をスタートしていました。経済も成長していて、会社も成長していたので昇進ポストも次々と生まれ、競争の結果、出世も約束されていた時代です。
一方で現代は低経済成長の時代です。「社内出世をしようにも、経営合理化で管理職ポストは逆に減っている」と言われています。
しかし、「これは本当なのか?」と考えて、調べてみました。
調べてみたら、日本労働組合総連合会「役職別の人員構成と賃金」という調査結果が見つかりました。継続的に調査をしてるので、時系列的な変化がわかります。
この調査によると、100人以上の企業で大卒男子で、50~54歳にどのような役職に就いているのかがわかります。1985年からリーマンショック直後の2009年の変化は次の通りです。
部長級 35.7% → 18.9%
課長級 18.2% → 22.6%
係長級 3.0% → 6.0%
他役職 23.2% → 14.2%
非役職 19.9% → 38.3%
かつて50代の1/3以上が部長に就任していましたが、リーマンショック後はわずか6人に1人。逆に役職についていない人が倍に増えて40%近くもいます。(2014年はやや改善していますが同様の傾向です)
各役職の平均年齢についても、変遷がわかります。100人以上の企業で大卒男子で、1985年からリーマンショック直後の2009年の変化は次の通りです。
部長級 49.1歳 → 50.9歳
課長級 44.5歳 → 47.1歳
係長級 40.5歳 → 43.1歳
非役職 34.2歳 → 37.2歳
「若手抜擢人事」は一般的でなく、逆に役職就任は2-3歳遅くなっています。
これらのデータから、出世競争はより一層と厳しくなり、出世するタイミングも遅くなっており、社内で競争し「大卒→係長→課長→部長→退職」という昔のパターンは崩壊していることが読み取れます。
つまり「現代では、出世競争だけが、会社人生ではない」ということです。
とは言え、企業に勤める目的は出世だけではありません。
スキルを磨く、仲間と一緒に働く、個人または小さな会社ではできない大きなプロジェクトに取り組む、人間として成長する、など、様々な意味があります。私自身も日本IBMで30年間仕事をしたことで、まだまだ未熟ながらも人間として成長させていただきました。
自分が働く意味を、今一度自分自身に問うことが必要な時代になったということではないでしょうか?