顧客第二主義を貫き、最高の顧客満足度を維持するサウスウエスト航空


1967年創業、1971年運行開始のサウスウエスト航空は、格安航空会社(LCC)のパイオニアです。米国同時多発テロ以降、航空産業は大きく冷え込みましたが、米国の航空会社でレイオフを行っていない唯一の大手航空会社です。

高い収益率を誇り、顧客満足度も航空業界トップの常連でもあります。

 

まさに「優良企業」のサウスウエスト航空ですが、意外なことに「顧客第二主義」を掲げています。

なぜ「顧客第二主義」なのに、最高の顧客満足度を維持しているのでしょうか?

 

それは、「従業員満足第一主義」を貫いているからです。

たとえば、サウスウエストはLCCとして様々なコスト削減を行っていますが、人件費の削減は行っていません。

サウスウエスト航空のサイトには、CEOのこんな言葉が紹介されています。

“Our people are our single greatest strength and most enduring longterm competitive advantage.”   Gary Kelly, CEO Southwest Airlines

「私たちの同僚は、私たちの唯一で最高の強みです。それは最も永続的で長期間にわたる競争優位性をもたらします」 ゲリー・ケリー、サウスウエストCEO

従業員を大切にすることが、最高の顧客サービスの提供を可能とし、サウスウエストの長期間に渡る好業績を生み出しているのです。

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一方で、「従業員を大切にする」ことがいつの間にか「従業員の既得権益」になり、顧客満足を大きく下げることもあります。

かつてIBMも企業理念で「個人の尊重」をうたっていましたが、1990年代初頭に経営危機に陥った際にIBMを立て直したガースナーが挑戦したのは、この「個人の尊重」を「既得権益」と考え、変わろうとしない企業体質の変革でした。

 

かつて日本企業も、従業員を大切にすると言われてきました。しかしともすると「従業員を大切にする」ことが、かつてのIBMのように「従業員の既得権益」となってしまうこともあります。一方で日本企業ではバブル崩壊後の成果主義導入や経営の欧米化で、従業員を大切にするという文化が薄れている企業もあります。

我々もこのかつての日本企業のよさを、新たな視点で見直すべき時期に来ているのではないでしょうか?