「1/4インチのドリルを購入した人々が必要としているのは、直径1/4インチの穴である」
この短い言葉の中に、製品志向と顧客志向の違いが凝縮されています。
「高性能の1/4インチのドリルを売る」と考えるのが、製品志向の考え方。
「直径1/4インチの穴を提供する」と考えるのが、顧客志向の考え方です。
なぜなら、顧客が直径1/4インチの穴が必要なのであれば、1/4インチのドリルが唯一の解決策とは限らないからです。
・危険な工具を使わずに住むように、穴開けサービスを提供する方法もあります。
・あるいは穴を開いた板を提供してしまう方法もあります。
さらに考えてみると、顧客が「穴が欲しい」と思っていても、実際には穴は不要なのかもしれません。
たとえば何かを固定するために穴が必要だと考えていたとしたら、本当は穴ではなくて接着剤を提供する方が、顧客にとってよりよい解決策かもしれないのです。
顧客が何かの製品やサービスを必要とする場合、必ず理由があります。
・「直径1/4インチの穴」を必要とする顧客の理由は、何か?
・「1/4インチのドリルが欲しい」のならば、それはなぜか?
・そもそも、本当に穴が必要なのか? よりよい方法は他に何か?
これを徹底的に考えることが、顧客志向なのです。
デフレを通じて価格競争一辺倒だった企業間の戦いは、いま、徐々に価値競争にシフトし始めています。
こんな時代だからこそ、顧客の表面的な課題を考えるのではなく、その課題の奥底にある本当の課題を見極めて、自社ならではの強みを活かして応えていくことが必要なのです。
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