よくこんなご質問をいただきます。
「お客様を理解するためには、どうすればいいのでしょうか?」
先日、テレビ東京の番組「ワールドビジネスサテライト」を見ていたら、まさに答えがありました。番組では、東京・目黒にあるうどん屋さんが紹介されていました。この店は毎日行列ができ、平日は深夜1時まで賑わっています。
この店の名物が、客の7割が注文する「カレーうどん」。10年以上かけて、出汁の材料をふんだんに使った濃い出汁に、企業秘密のレシピで作ったカレーの組み合わせを開発し、美味しいカレーうどんを作っています。大人気のカレーうどんですが、今もなお味を調整し続けています。
カレーうどんの味を調整するために、店主の尾藤さんは、自ら洗い場で下げられた食器を洗っています。
食器には、レンゲで最後まで食べたカレーの線が付いています。このカレーの線が付いているのは、完食したという証。尾藤さんは洗い場で、このカレーの線の確認をしています。
尾藤さんはこのようにおっしゃっています。
「洗い場はないがしろになりがちですが、実は一番正確にお客様の満足度がわかるのが、洗い場なんです」
さらに尾藤さんは、店で食べているお客様の様子をマメに見渡しています。お客様が食事をしながら麦茶のおかわりが多いのは、カレーうどんが辛すぎる可能性が高いのですが、その原因は煮干しや昆布の状態が悪いため。そんな時は出汁を取る際に、煮干しや昆布を多めに入れるようにしています。
「なるほど!」と思いました。
うどん店やラーメン店のようにお客様がどんどん入れ替わる店では、「完食したかどうか?」で正確にお客様の満足度を把握できます。しかもカレーうどんの場合、レンゲで残りをすくい取るほど追い込んで食べるのは、美味しさに満足した証でもあります。
尾藤さんはそこをチェックしているのですね。
KPIという言葉があります。「業績評価指標」という意味です。(Key Performance Indicatorの略)
尾藤さんは、お店のKPIを次の2つに設定し、マメにチェックしているのです。
レンゲの線 = 「顧客満足度」のKPI
麦茶のおかわりの頻度 = 「お客様が辛いと感じるかどうか」のKPI
お客様のことを理解するヒントは、お客様がいる現場にあります。当たり前のことですが、ただ漠然とお客さんを見ていても、なかなかわかりません。
尾藤さんのように、お客様を理解するためのシンプルなKPIを設定し、それをマメに把握し、改善し続けることが、必要なのです。
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