なぜ「炎上マーケティング」ではブランドを作れないのか?


「炎上マーケティング」が話題になっています。

最近もマーケティング業界で一目置かれるある大企業が、出張先の飲み屋での異性との出会いを男性目線で描いた動画を公開し、早速ネットで炎上、動画はすぐに差し替えられました。

ネットでは「不愉快」「気持ち悪い」という声が多くある一方、一部の男性からは「何が問題なの?」という声もあります。

「なぜわざわざお金をかけて不愉快なものを作り、炎上させるのか?」と思ってしまいますが、これは炎上させることで話題性を高め、商品認知度を一気に上げようという作戦です。こういうのを「バズらせる」と言ったりします。

 

ネットではネガティブなモノが口コミで一気に広がる傾向があります。

BuzzFeedの記事『サントリーのビールCM炎上の舞台裏 電通社員「炎上を狙うことがある」』によると、広告代理店からの提案で、炎上狙いで、あえて仕掛けることもあるようです。

「私たちの使命は、商品の認知を上げること」と考えている広告代理店の担当者にとっては、「お金をかけてプロモーションしたのに、誰もが無関心」という状況は、何としても避けたいところ。そこであえて炎上を仕掛け、一気に商品認知度をあげようとする。炎上させることで「認知度を上げる」という目的は達成できるというわけです。

広告代理店に限りません。「炎上でバズらせて、一気に認知度を高めましょう」と提案するコンサルタントも少なくありません。

これは本当に効果的なのでしょうか?

 

私はマーケティング的に見て、これは大きな問題だと考えています。

炎上させることで商品を認知するのは、主に不愉快になった人です。そういう人たちをいくら大量生産しても、価値を生み出しません。むしろブランドを大きく毀損します。場合によってはその商品ブランドだけでなく、炎上マーケティングを仕掛けている企業ブランドもダメージを受けます。

私は「ブランドとは鍾乳洞だ」と考えています。石灰水を含む1滴の地下水が長年積み重なって、あの巨大な鍾乳洞が出来上がります。

ブランドも同じです。「一滴の石灰水」が「一つの顧客満足」。ですからブランド価値を上げる方法は、石灰水を一滴ずつ滴らせるように、顧客満足を積み重ねることしかありません。

ブランド価値を高めるのは、本来地道な作業の積み重ねです。

 

現代の消費者は賢明です。
「炎上マーケティングでバズらせる」と考えて、不愉快な人たちを大量生産しても、ブランドを作ることはできません。

確かに認知度調査をすると、一時的には「その商品知っている」という人は増えるでしょう。一時的に商品は売れるかもしれません。

しかし「炎上マーケティング」を仕掛けることで、なによりも大切なブランドも焼失してしまうのです。

 

 

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