「義理チョコやめよう」というゴディバに、ブラックサンダーは?


2018年2月1日の日本経済新聞に掲載された1面広告。驚きました。

「日本は、義理チョコをやめよう」

あのゴディバジャパン、ジェームズ・シュシャン社長の署名入り広告です。
こんなメッセージが入っています。

 バレンタインが嫌いだ、という女性がいます。
 その日が休日だと、内心ホッとするという女性がいます。
 なぜなら、義理チョコを誰にあげるかを考えたり、
 準備をしたりするのがあまりにもタイヘンだから、というのです。
 (後略)

 バレンタインを、好きになってください。
 GODIVA

(実物の広告です)

2月14日に職場で義理チョコが飛び交うのは、もはや日常的な光景。
「チョコの会社なのに、立派な意見広告だなぁ…」と思っていたのですが、よくよく考えてみると、これは凄い差別化戦略だと気がつきました。

ゴディバは高級チョコレートです。
高価なゴディバは、本命チョコとして買われることが多いはず。

「義理チョコはやめて、本命チョコへ!」

実はこれがゴディバの狙いなのでしょう。”Share of wallet”(直訳は「(顧客の)財布のシェア」)という言葉があります。現代では、消費者の財布の中からどれだけ自社に使ってもらえるかが勝負。こう考えるとこの意見広告は、ゴディバのバリュープロポジションを周到に考え抜き、”Share of wallet”を最大化するための戦略なのですね。

 

「やるなぁ、ゴディバ」と思っていたら、さらに驚いたことが。

ブラックサンダーを製造・販売する有楽製菓の公式アカウント「ブラックサンダーさん(有楽製菓公式)@プレミアム義理チョコショップ」が、こんなことをつぶやいていてバズっています。

ブラックサンダーは、相手に「これって本命チョコ?」と誤解されるリスクは皆無。安心の義理チョコとして、ブラックサンダーならではのバリュープロポジションを考え抜いたメッセージで返すあたり、さすがです。

ターゲット顧客の心に響くメッセージをいかに発信するか?
ゴディバもブラックサンダーも、Share of Walletを獲得するためにバリュープロポジションを考え抜いているのです。

 

 

■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちへ。

Facebookページでも、色々な情報がご覧になれます。