「なかなか売れない…。値下げしよう!」
会社でよく見かける光景です。でもちょっと待って下さい。本当にその値下げで売上が伸びるのでしょうか?
たしかに販売の現場では、
値下げする
→お得感をアピール
→買ってくれる
→万々歳
となりますよね。でもマーケティングの視点では、もう少し考える必要があります。値下げには2種類あるのです。
「売上が増える値下げ」では、値下げにより、買うお客さんが増えます。売れる商品数も増えて、売上も増えます。(市場全体で見ると、値下げしたことで需要が増えていることになります)
「売上が減る値下げ」は、値下げしても買うお客さんが増えません。「え?そんなことあるの?」と思うかもしれませんが、これが意外と多いのです。たとえばタイヤメーカーがタイヤを自動車メーカーに売る場合、いくらタイヤを値下げしても、自動車の売れる数にあまり影響がありませんから、タイヤが売れる数も変わりません。こうなると、値下げしただけ売上が減ることになります。(市場全体で見ると、値下げしても需要はまったく増えていません)
今売っている商品が、どちらなのかを考えることが必要です。
ただし、前者の「売上が増える値下げ」でも、ライバルと値下げ合戦が始まれば消費者はライバルも選ぶようになるので、一気に収益性が下がります。
たった1%値下げしただけで、営業利益が8%下がります。これは簡単な計算でわかります。
売値が1000円で、利益が120円だったとします。
ここで1%値下げして990円で売ると、利益は110円に減ります。
1%の値下げで、利益は120円から110円と、8%も減るわけです。怖いですよね。
お客様が買う時は、価格はあくまで一つの要素でしかありません。
「高いけど、どうしても欲しい」と思ったら、お客様は財布を開きます。
安易な値下げは行わず、いかに価格以外の価値をアピールするかが大切なのです。
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