時々、このようなことを言う人がいます。
「ボクは沢山失敗している。だから次は必ず成功する」
しかしこのような人は、また失敗することが少なくありません。
厳しい言い方になりますが、「負け癖」がついているのです。
ではなぜ「負け癖」がついてしまっているのでしょうか?
「負け癖」が抜けない人は、失敗した後、こう考えます。
・あの案件に手を出したのがいけなかった→もうあの手の案件はやめよう
・あの人が悪い→もうアイツと組むのはやめよう
・自分が未熟だった→もっと修行しよう
・自分の経験が足りなかった→経験値を上げよう
共通しているのは、「単なる犯人捜し」をしている点です。
「自分が未熟」というのも、犯人捜しの対象が自分に変わっただけ。
犯人捜しをしても、問題は解決しません。
犯人を排除しても、次に挑戦するときには、別の犯人が登場するからです。
必要なことは、「犯人捜し」ではなく、「原因探し」です。
「自分が未熟だった」という場合も、「だから修行しよう」と抽象的に考えても解決しません。何が足りなかったのかを具体的に考え抜き、自分に不足しているスキルを身につけることで、解決に近づきます。
トヨタは、「5つのなぜを徹底的に考えろ」で有名です。でも「5つのなぜ」を具体的にどのように考えればいいのか、知っている方は意外と少ないかもしれません。
「トヨタ生産方式」を生み出した大野耐一さんは、1978年にご自身が執筆した著書「トヨタ生産方式」で、次の例を挙げておられます。
たとえば「機械が止まった」という問題が起こったとします。
【なぜ1】「なぜ機械は止まったか」→「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ」
【なぜ2】「なぜオーバーロードがかかったのか」→「軸受部の潤滑が十分でないからだ」
【なぜ3】「なぜ十分に潤滑しないのか」→「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」
【なぜ4】「なぜ十分くみ上げないのか」→「ポンプの軸が摩耗しガタガタになっているからだ」
【なぜ5】「なぜ摩耗したのか」→「濾過器がついていないので、切粉が入ったからだ」
この結果、「濾過器を付ける」という対策を取れば、この問題の再発は防ぐことができます。
犯人捜しをするから、負け癖が取れないのです。
必要なのは、「なぜ」を繰り返して問題の根本原因を探すことなのです。
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