普通のスーパーが、お洒落に改装→売上3割減の理由


近所にある普通のスーパーが、全国から食材を取り寄せたお洒落なグルメ売り場に改装しました。

「この沿線に住む専業主婦は、グルメが多いから」

ということのようです。

改装から数週間後…。
改装前は夕方にはレジ待ち行列があったのですが、改装後は行列が消えました。レジ待ち行列の減り具合から推察すると、売上3割減です。

「沿線に住む、グルメな専業主婦」をターゲットに、お洒落な高級食材店に生まれ変わったのに、なぜ売上が減ってしまったのでしょうか?

 

最近流行の「ジョブ理論」で読み解くと、理由がわかります。

ジョブ理論は「ジョブ」「雇用」「解雇」という独特の言葉で商品を買う理由を考えます。具体的には、顧客の立場に立って次の質問を問い続けていきます。

「どんな『ジョブ(用事)』を片づけたくて、顧客はその商品・サービスを『雇用』するのか?」

 

実は改装前のスーパーは、普段の食材や台所用品などの日用品が1カ所で揃うので、我が家も重宝していました。しかしグルメな食材に特化したため、洗剤などの日用品が棚から消えてしまい、とても不便になってしまいました。

ジョブ理論的に考えると、以前のスーパーは「夫や子供の帰宅前に夕飯づくりを済ませるため、短時間で買い物を済ませたい」という主婦たちの「ジョブ」「雇用」されていました。

しかしグルメ食材店に特化したことで、主婦達の「必要なものをすべて短時間で買い揃える」という「ジョブ」に応えられなくなり、「解雇」されてしまったのです。そして隣にある昔ながらのちょっと古めなスーパーは大賑わいです。顧客がゴッソリと移動してしまったのですね。

 

本来必要なことは、表面的に顧客を「沿線に住むグルメな専業主婦」と捉えるだけでなく、顧客を徹底的に観察して「解決したいジョブ」を見極め、「雇用」されることなのです。

 

ちなみに売上3割減はさすがに困ったのでしょう。このスーパーは改装5ヶ月後にも関わらず、現在再改装中です。この判断の速さは素晴らしいですね。地元住民としては「今度はちゃんと私たちのジョブに応えられる店になって欲しいなぁ」と願っています。

 

 

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