6%値上げで客離れの鳥貴族。11%値上げで離れなかったQBハウス


居酒屋「鳥貴族」は、2017年10月に28年ぶりに価格改定して、全品280円を298円に6%値上げしました。

その後、3月まで15ヶ月連続で前年比で既存店の売上高・客数ともに減り続けています。
さらに値上げ1年が経過した2018年10月以降は、客単価も前年比2-3%減っています。
(以上、鳥貴族IR情報より)

一方で「QBハウス」は今年2月1日に1080→1200円へ11%も値上げしました。
私は昨年8月に当コラムで、「値上げ後も、意外と客離れは少ないのではないか」と書きました。

結果は、値上げ後2月/3月の売上は、既存店は2月は+9.6%。3月は+9.9%。客離れは6%の予想でしたが2%に留まりました。
(以上、QBネットIR情報より)

両者の違いは、何なのでしょうか?

鳥貴族の場合、格安居酒屋は他にも沢山ありました。ですので「安いから鳥貴族に行く」というお客は、「値上げしたから、別の店に行こう」となります。しかも値上げニュースがメディアで大きく伝わったので、実態以上に「高くなった」というイメージが定着してしまいました。
低価格をウリにすると低価格目当てのお客が集まり、低価格目当てのお客はたとえ6%値上げでも離れるということです。

ちなみに家具のニトリが「同じ商品は絶対に値上げはしない」という方針を貫いているのは、この怖さを知っているからです。

 

一方でQBハウスは、大手理髪チェーンでは代替がありません。さらにQBハウスに行くお客は、価格だけでなく「10分でカットできる」という価値も評価しています。ですので11%も値上げしても、意外と客離れが少なかったのでしょう。

 

鳥貴族が28年も280円で頑張ったのは、実に凄いことだと思います。しかし鳥貴族といえども、6%の値上げでこんなに苦しんでいます。

競争が激しい市場で低価格戦略を選んだら、絶対に値上げしてはいけない、ということを、鳥貴族とQBハウスの事例は教えてくれます。
やはり低価格戦略は、できる限り避けるべきだと私は思います。

 

 

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