この状況が1年続く前提で、今こそ変革を実行せよ


安倍首相が「新型肺炎拡大を防ぐには、この1〜2週間が極めて重要」と会見して小中学校は休校、様々なイベントが中止・延期、企業は急遽在宅勤務に切り換えるなど、厳しい状況が続いています。

安倍首相の2月28日の会見から、10日間が過ぎました。その後、中国の新規感染者数減少というよいニュースもある一方で、国内では自粛モードが続き株価下落、イタリア・イラン・韓国・米国で感染拡大、ついに昨日は安倍首相が「歴史的緊急事態」に指定すると表明するなど、終息の気配は見えません。

多くの人は「本当に3月でこの状況が終息するのか?」と薄々感じ始めているのではないでしょうか?

大前研一さんも、YouTubeのBBTビジネスチャンネルで、こうおっしゃっています。

「日本政府は『自粛しろ』というが、『今から自粛しなくてもいい』とは言わないし、言えない。
 三宅島も3日間の噴火があった時に島民を避難させたが、3年間帰れなかった

意思決定する立場にある多くの方は「どうすればいいのか?」とお考えなのではないかと思います。

 

いま必要なことは、最悪な状況を想定した上で、ポジティブに行動することだと思います。

まず最悪の状況の想定。

今の状況は3月一杯でなく、あえて「来年の年明けまで1年間続く」と想定してみます。(しつこいようですが、あくまで最悪の状況の想定です)

そして、そう考えた上で、どのようにすべきか、です。

セオドア・レビット著「マーケティング論」に、1974年にレビットが執筆した「原材料の不足を逆手に取ったマーケティング」という論文が掲載されています。当時は第1次オイルショックで様々な原材料の供給が切迫する、という危機でした。やや長いですが、引用します。

–(以下、引用)—

すべての買い手が品不足に悩まされ、その状態が長く続くだろうと予想した場合には、メーカーにとっては積年の課題を解決する格好のチャンスだといえる。製品ラインを整理する、利益率の高い製品の販売に注力する、製品や原材料を刷新する、新規顧客を開拓する、といった取り組みをすべき時が訪れたのだ。

…最盛期を過ぎた製品を「安楽死」させようとすれば、根強い反発が避けられない。成長の原動力として企業に貢献した製品ラインを冷酷に見捨てるのは、いったいどういう神経か、というわけだ。そのうえ営業部門も、「お客様はこの製品の存続を望んでいる」などと強く反対する。

…このような時こそ「かつての主力製品」を打ち切るまたとないチャンスである。「原材料が手に入らない」といった説明を、顧客は理解してくれる。

…昔ながらの流儀が通用しなくなると、変革はいとも容易に進む。慢性的な品不足とインフレは、そのような機会をももたらす。…古いやり方が通用しなくなり、ある種の空白が生じたような場合には、新しい発想を取り入れる理想的な環境が整ったといえる。

…好業績の陰で温存されていた、コストのかさむオペレーションや業務手順の数力を、この機に取り除いてしまおう。

…人間の営みには潮時というものがある。うまく満ち潮に乗れば、素晴らしい結果が得られるだろう。

–(以上、引用)—

当時のレビットの洞察は、今の私たちに大きなヒントを与えてくれます。

多くの日本企業は「変革をする」と言ってきました。
しかし様々な抵抗に遭ってなかなか変革を実行できませんでした。

今回の新型肺炎を前向きに捉えれば、今後を見据えて大きな変革を断行する絶好のチャンスです。ちょっと考えただけでも、今までなかなか出来なかったこと色々なことができます。

・働き方改革を一気に進めて、無駄な業務を洗い出して徹底的に削減し、無駄な会議や打合せも全廃する
・在宅勤務に全面的に移行し、仕事とプライベートの両立を図っていく
・まったく新しい管理方法を試行・導入する
・ネットに移行できる業務を全てネットに移行することにより、利便性向上とコスト削減を一気に進める
・日頃は仕事が忙しくスキルアップの時間が取れない社員に、スキル向上の機会を提供する

様々なビジネス活動を停止せざるを得ない今こそ、変革を実行する最高のチャンスではないでしょうか?

 

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2020-03-10 | カテゴリー : ビジネス | 投稿者 : takahisanagaicom