アマゾン、大丈夫でしょうか?


私はネットでモノを買う場合、ほとんどアマゾンを使っています。理由はいろいろです。まずアマゾンプライム会員なので、配送料無料。万が一の場合、返品は実に簡単。加えてほとんどの商品は、アマゾンで探せば大抵は見つかります。

「顧客努力」という概念があります。現代の顧客は極度の「面倒くさがり屋」です。注文で商品が見つからない、返品に手間がかかる、というように「顧客努力」が必要な顧客体験は、顧客ロイヤルティを一気に下げます。その結果、顧客はライバルに逃げるのです。

アマゾンはこの「顧客努力を最小限にする」という顧客体験に徹底的に拘って、長年努力を続けてきた結果、ネット通販で世界最強になりました。

しかし最近、気になることもあります。

先日、私はKey Lightという商品を探していました。Web会議などで使える高品質な照明で、米国では人気です。

日本のアマゾンサイトで”Key Light”で検索すると、似たような商品が沢山表示されました。1つずつ調べましたがどれもKey Lightではなく、中には怪しい中国製もありました。この確認って、とても手間がかかりますよね。

かつての顧客体験を重視するアマゾンならば、即「お探しの商品はありません」と表示されていました。

最近のアマゾンは、こんな体験が続いています。私は一部の商品はMonotaROで買うようになりました。MonotaROでは全て1社で商品を提供しているので、安心だからです。

このようにアマゾンで探している商品が見つからないことが起こるのは「アマゾン広告」のためです。アマゾンは商品を売りたい販売主のために、有償広告を出しているのです。

米国のある調査によると、2020年のアマゾン広告売上は130億ドル(1.5兆円)。対前年度で23.5%成長したと見られています。これは数兆円規模の高成長事業が次々と立ち上がるアマゾンの勢いを感じさせます。

一方で、これまでアマゾンは顧客体験を愚直に徹底的に追求し続ける企業でした。アマゾンのビジネスの中核は「顧客体験」なのです。

折しも創業者ジェフ・ベゾスがCEOを退任します。

アマゾンはもの凄い勢いがあるので、当面は成長が続くでしょう。しかし長期的に成長が続くか否か、ベゾス退任後も「顧客体験を徹底的に追求し続ける企業」であり続けるか否かにかかっていると思います。

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