「うちは倍の16時間働く」の日本電産永守会長が、残業ゼロ宣言した理由


私は会社員時代、いわゆる「モーレツ型」といわれる上司の下で働いたことが何回かあります。

ビジネスで大事なことを色々と教えていただきましたが、一方で反面教師的なことも学びました。

モーレツ型上司に共通するのは「仕事は時間をかけて丁寧に仕上げるべきだ。時間は潤沢に使える」と信じ込んでいること。モーレツ型は抱える仕事量も多いので、残業でこなすしかありません。当然ながら部下の仕事も増えます。かく言う私も若い頃は「これが正しい」と信じ込んでいたので、徹夜もよくやっていました。

しかしある時、ふと気付きました。

「考えてみると、やらなくていいムダな仕事も随分やってるな…。それに時間をかけたからって、仕事のクオリティもたいして上がるわけでもないな…。時間をかけりゃいいって訳でもなさそうだ」

そこで考え方を変えました。

「『本当に必要な仕事は何か』を考えた上で、やると決めた仕事で求められる成果が何かを把握して、時間内に仕上げよう」

こうして残業はなくなり、仕事の品質も向上しました。

その後、管理職になって業務は増えましたが、就業時間外で「100円のコーラ」シリーズを執筆し、合唱団幹部の事務局長の仕事をし、毎日ブログを執筆し、月1回の朝活勉強会の運営もこなしながらも、睡眠時間も取れるようになりました。

超モーレツ型で知られる日本電産の永守会長が「残業ゼロ宣言」をしたのも、同じことだったようです。

永守会長は「松下電器が1日8時間働くなら、うちは倍の16時間働く」と考え、土日も休まず働くことで有名でした。しかし2016年に突然「2020年までに残業ゼロを達成する」と宣言し、大きな話題になりました。

しかし「ハードワークは止めよう」と考えたわけではありません。むしろその逆です。

永守会長が「残業ゼロ宣言」をしたきっかけは、買収したドイツの会社の生産性と比べて、日本企業の生産性がほぼ半分だと知り、衝撃を受けたこと。彼らは残業せず、夏休みも1ヶ月取りながら、利益も出していました。

こうして永守さんは「生産性が低いまま長時間働くことが問題だ。生産性を2倍に上げて、残業しないようにしないと、日本は世界で勝てない」と気がついたのです。

長時間労働でハードワークをするのではありません。
生産性を2倍にして、残業ゼロでハードワークをするのです。

「残業ゼロ=ハードワークしない」と考えがちですが、これでは競争力は落ちる一方。

「でも、どうすればいいの?」と思われるかもしれませんね。

試しに大量の仕事を抱えている日に、「今日は全部の仕事を定時までに片づけて帰ろう」と頑張ってみて下さい。意外と全部片づけられるものです。ただ夕方にはグッタリ疲れていると思います。人間、本気で集中できるのは一日8時間程度が限界なのだと思います。

しかしこれが出来るのならば、同じ事を毎日できるはず。まずはやってみましょう。

  

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