「目からウロコ」のイノベーションは、例外中の例外


2月24日に行った永井経営塾ゲスト・ライブは、いつもたいへんお世話になっている早稲田大学ビジネススクール・内田和成先生をお迎えして、1時間の対談でした。とても学びが多く濃い時間でした。

その中の1トピックをピックアップしたいと思います。

内田先生は、4月1日に東洋経済新報社から『イノベーションの競争戦略: 「0→1」を狙うか? 横取りするか?』を刊行されます。その内容について、先取りしてお話しいただきました。

内田先生は、2年半かけて1000件もの世の中の様々なイノベーション事例を調べて、本書を書かれたそうです。

そしてわかったのは、「目からウロコの大発明」が成功するケースはまったく少数派だということ。

実際のイノベーション成功事例は、多くは、

・地道にやり続けたらようやく到達した
・最初に発明した人が途中で力尽きたプロジェクトを横取りしたら、成功した

…というものが、圧倒的に多かったそうです。

イノベーションとは、「新しいことを生み出すことだ」と言われます。ただこれは必要条件に過ぎません。

それに加えて、「新しいことを定着させて、消費者の態度や行動の変容を生み出すこと」がイノベーションの十分条件になってくる、ということです。

まとめると、イノベーションを生み出すには、

・新しいことを生み出す
・それを定着させて、消費者の態度や行動の変容を生み出す

この二つが必要なのだ、というのが、内田先生の新刊のメッセージです。

つまり、お客さんを変えることがカギ。

これは納得のお話しでした。

お話しを伺って思い出したのが、あのイーロン・マスクでした。テスラを創業してEV(電気自動車)で世界トップシェアを獲得、さらにスペースXを立ち上げて宇宙ビジネスを軌道に乗せ、さらに都市間交通システムハイパーループや、脳とコンピューターを繋げるニューラリンクも立ち上げています。

イーロン・マスクを見ると、「目からウロコの大発明」を次々と成功させているように見えますが、そのイーロン・マスクもこう言っています。

・「すごいアイデア」や「最高の戦略」は全体の5%
・95%は、ひたすら愚直な積み重ねの繰り返し。(仮説→検証→再試行)
・正しい方向を戦略で定めて、愚直に学び、修正し続ければ、成功する可能性はどんどん高まる。

要は「しつこさ」「愚直さ」が成功のカギということです。

「自分は地道にしつこく続けている」という方は、多いのではないでしょうか? 意外なことにイノベーションはそんな先に待っているのかもしれません。

 

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