「おぱんちゅうさぎ」と「100日後に死ぬワニ」で考えたブランディング


私はテレビをほとんど見ないのですが、唯一、録画して必ず観る番組があります。
テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」です。

先日、この番組で取り上げたのが、こちらでした。

おぱんちゅうさぎ

いま、10〜20代の女性を中心に大人気だそうです。
皆さん、ご存じでしたか? 私は全く知りませんでした。

TikTokを使っている方は、ためしに「おぱんちゅうさぎ」で検索してみると、妙にテンションが高い歌声とBGMでおばんちゅうさぎが出てきます。

人のためにひたむきに奮闘して純粋。健気。
みんなのために頑張るけど報われない。

そんなキャラが、大きなウルウルした目で伝わってきますね。

おばんちゅうさぎをプロデュースしているのが、CHOCOLATEという会社です。番組ではCHOCOLATE代表の渡辺裕介さんが「おぱんちゅうさぎのなぜ?」として3つのキーワードを挙げておられます。

①Z世代はビジネス臭を嫌う。→打算的で作り込まれたものを敏感に感じ取ってしまいます

②作者の業。→作者の徹底したこだわりや背負っているものが、キャラに滲み出てきます

③カギは「接触時間」。→毎日会う人は愛着が湧くように、SNSで日常的なコンテンツを出しつつ、世界観を伝えるために絵本、アニメ、音楽などで五感を刺激していきます

特に①「Z世代はビジネス臭を嫌う」は、「なるほどなぁ」と思いました。

ここで思い出したのが、3年前に流行った「100日後に死ぬワニ」(略称「100ワニ」)です。このブログでも書きました。→記事

Twitterでワニの何げない日常を描く漫画ですが、「死ぬまで99日」「…98日」とカウントダウンしていき、大人気になりました。3月20日の最終回でワニは死んでしまい、多くの人が「泣いた」「感動した」「ありがとう」とコメントしました。

しかし最終回が終わると「書籍化決定、映画化決定、グッズ・イベント」などが矢継ぎ早に発表され、ショップも開店すると、今度は逆に批判が集まりました。

あくまで当初は作者個人のTwitterのつぶやきだったわけですが、多くのファンが付いたことで、「100ワニ」はもはや個人のモノを超えたブランドになってしまったわけですね。

「おぱんちゅうさぎのなぜ?」の3つのキーワードで「100ワニ」現象を読む解くと、色々と見えてきます。

①Z世代はビジネス臭を嫌う。→おぱんちゅうさぎもグッズ展開しているわけですが、ターゲットである若い女性達が欲しいというタイミングで上手に出しています。「グッズ販売も、結局商売でしょ」と思いがちですが、カギはそれを相手が受け容れる状態か否かの見極めかもですね。

②作者の業。→100ワニの作者によると、100ワニを書くきっかけは、友人の事故死で「何があるかわからない。時間を大切にしてほしい」という想いだったそうです。この作者が抱える業が、100ワニを通して伝わったのですね。

③カギは「接触時間」。→おぱんちゅうさぎはこの辺りが実に巧みで、システム化されているように思いました。100ワニもこの辺りをうまくすればいい感じに展開できたかもしれません。(ちなみに「100日後に死ぬワニ」は、その後「100日間生きたワニ」として映画化されています)

SNS時代のブランディングのあり方として、とても参考になると思いました。


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