暑い日にコーラが200円だと、少しイラッとしてしまう


最近、タクシーを利用する際に愛用しているのがGOというアプリです。いままでタクシーをつかまえるのは大変でしたが、GOを使うと近くにいるタクシーがすぐに来てくれます。

ただ、なかなか空車がない場合もあります。こんな場合は少々料金がかかりますが、「優先パス」を使えば優先して配車してくれます。私は納得して使いますが、SNSを見ていると「これで料金を取るなんでケシカラン」という人もいました。なかなか難しいものです。

やや古い記事ですが、6月26日の日本経済新聞にこんな記事がありました。

『広がる「変動価格」、消費者不満も』

最近流行のダイナミックプライシングについての記事です。

需要が高いと価格を高く設定し、需要が低いと価格を下げる、という価格設定のメカニズムです。

GOの優先パスは、使うかどうかはユーザーに委ねられているので、実に巧みにダイナミックプライシングを活用していると思うのですが、それでも不満な人がいます。

たとえば暑い日に、いつも自販機で150円で買えるコーラが、200円になっていたりすると、「暑いからって、そこで儲けるの? それって違うでしょ」って思って、ちょっと「イラッ」としますよね。これは実際に米国コカ・コーラが実験して批判され、頓挫したそうです。

ホテルや航空機などではダイナミックプライシングはある程度定着していますが、他の分野では見直しも増えてきています。

たとえばプロバスケットボールチームのレバンガ北海道では、変動価格制をやめて、試合日ごとに異なる二種類の価格に見直しました。

清水エスパルスもJ2降格で客が減り「席が埋まっていないのに高い」との反発があり、「儲けばかり求めているとみられるとファンが離れる」として、2〜3割の試合を定価に戻しました。

一方で食品ロスを減らすために賞味期限間近の商品を集めて安く販売するサービスが、中国で若者中心に受けて成長しているそうです。中国では若者の失業率が20%にもなっています。「確かに食品がムダなのはよくないよね」という大義名分と、「収入が低いから安い方が助かる」というホンネにアピールしています。

ビッグデータやAIを活用したダイナミックプライシングの手法は、まだ始まったばかりです。今後、試行錯誤を繰り返しながら、ダイナミックプライシングが定着していくのではないかと思います。

   

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