「まんだらけ」の集中戦略は、グローバルへ


マンガ専門の古本屋「まんだらけ」という店をご存じでしょうか?

いわゆる普通の古本屋とはかなり違っていて、コアなファンに特化しています。

マンガ関連グッズも多く、海外からのコアなファン層がお目当てのトレカやマンガのフィギュアを物色したりしています。BL(ボーイズラブ)系の品揃えも豊富で、意外なことに店内には若い女性客も多くいます。

店員の何名かは、マンガの世界のコスプレです。「うる星やつら」のラムちゃんのような目のやり場に困る女性店員や、フリフリのエプロンを着たロリータファッションの女性店員もいて、店内ではコスプレ店員の人気ランキングをつけていたりします。

この「まんだらけ」ですが、東証スタンダードに上場しており、最近の売上推移はこんな感じです。

2018年 98.7億円 (対前年 2.9%)
2019年 100.6億円 (対前年 +1.9%)
2020年 90.2億円 (対前年 -10.3%)
2021年 96.3億円 (対前年 +6.7%)
2022年 105.9億円 (対前年+10.0%)
2023年 128.4億円 (対前年+21.2%)

コロナ禍で売上が10%落ち込みましたが、最近は絶好調ですね。昨年からは株価も急騰中です。

競争戦略を提唱したマイケル・ポーターは「競争の3つの基本戦略」を提唱しています。

【差別化戦略】顧客の特定ニーズに対して売れるようにする
【コストリーダーシップ戦略】ライバルより低コストにする
【集中戦略】対応する顧客やニーズを狭める

集中戦略のカギは、顧客や提供する製品を徹底的に絞り込み、その絞り込んだ領域でライバルの誰も真似できないレベルまで価値を高めることです。徹底的に絞り込むことで、より低コストで価値を高めることができます。

まんだらけの戦略はまさに「集中戦略」です。

他では決して出会えないレアなマンガに出会えます。秘蔵レア本を持っている人にとっても、そのレア本の価値を正当に評価して買い取ってくれます。これはなかなか他の古本屋は真似できません。

マンガの古本という徹底的に絞り込んだ製品の領域で、コアなマンガ愛好家という徹底的に絞り込んだ顧客に対して、圧倒的な価値を提供しています。まさに無双状態です。

一方でコロナ禍でビジネスのデジタル化が進み、ECもすっかり当たり前になりました。そこでまんだらけは世界全体でのビジネス拡大を目指して、販売サイトが英語、簡体中国語、スペイン語に対応したり、「まんだらけSAHRA」というWeb通信販売、さらに電脳マーケット「ありある」などで販路拡大を勧めています。

しばらく低迷が続いていたまんだらけでしたが、日本市場に特化して最適化しているうちに、世界のマニアックな顧客を吸引する力を身につけて、グローバル展開が始まっているように見えます。

今後に注目したいですね。

集中戦略の本質は「徹底的に絞り込んだ製品・顧客へ、低コストで徹底的に最適化すること」です。そして日本以外にその顧客の数が多くいるのならば、その集中戦略はグローバル展開可能です。

そしてネット活用により、グローバル展開のハードルは思っていたよりもずっと低いのです。

御社のビジネスで、集中戦略→グローバル展開ができないか、考えてみてはいかがでしょうか?

   

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