菅さんが首相退任後、インタビューで震災直後に原発事故に直面した時の状況を語っています。
菅前首相「首都圏3000万人避難も想定した」【インタビュー要旨】
最悪シナリオを考えるように指示したくだりでは、首都圏3000万人が避難するケースも想定したそうです。
—(以下、引用)—
いくつかのところに最悪のシミュレーションを頼んでいた。いろんな段階でいろんな報告が来た。最悪のシミュレーションはちゃんとやっておかなきゃだめだ。最悪をちゃんと想定して、そうならないように。かなり早い段階からやっていた。(200キロ圏内の避難が必要との試算があったが)200キロといったら、もう東京圏が入る。250キロといえば、ほとんど首都圏全部だ。3千万人だ。避難というレベルを超えている。大混乱だ。日本が社会的に機能しない状況に陥る。国が国として成り立つかという瀬戸際だった。
—(以下、引用)—
震災直後、私も自宅で在宅勤務モードで、原発事故の進捗を心配して見守っていた時期、官邸ではこのようなギリギリのシナリオまで考えざるを得なかったのですね。
「3000万人の避難」…想像しただけでも気が遠くなります。
ちょっと考えただけでも、…..。
受け入れ先はどこにするのか?
各自の受け入れ先の割り振りはどうするのか?
受け入れ先までの3000万人の移動手段はどのように確保するのか?
その間の、食事・トイレ・急病人が出た場合の手配はどうするのか?
避難所に持って行く荷物の扱いは?
ロジスティックス1つ取っても、まさに「史上最大の作戦」。しかも猶予期間は2−3日程度もないのです。
首都圏に様々な機能が一極集中している現状、このような事態になると、日本という国の機能が停止してしまいます。
仮に3000万人という規模をひとまず置いたとして、今の生活がなくなり、離れた場所での避難所暮らしに切り替わるとしたら…。
自分のケースを考えても、現在の財産のかなりの程度は失うことになるでしょうし、ネットワーク経由である程度の仕事は可能とは言え、通信回線や電源も確保できる保証もなく、最終的に仕事も失う可能性もあります。
しかしこれは、まさに福島で原発周辺から避難している方々の、今現在の現実です。たまたま、私たちは避難しくてもよい地域に住んでいたというだけ。そのことを思うと、避難されている方々は、私たちの姿でもあります。
このような最悪のシナリオを、現実的な問題として想定しなければいけない現代に、私たちは生きているのですね。