「営業は確率戦」というアウトバウンドコールで、失うもの


Confused businessman holding the phone

仕事中に、会社へ営業のお電話をいただくことがよくあります。いわゆる中小企業に限らず、名の通った大企業の場合もあります。

こんな感じで、多くの場合は若い方がやや慣れない調子で電話してこられます。

「〇×△□社の××と申しますが、永井様でしょうか?」

コールセンターのオペレーターではなさそうですし、会社名を名乗られるので、最初に企業様からの仕事のご依頼と想定して電話に出ます。

「はい。永井でございます」

「弊社はxxxxの業務を行っておりまして、是非永井様にご覧をいただきたく、お電話を差し上げました」

微妙な言い回しなので、「ご相談したい」「取材したい」という仕事の電話か、「製品を紹介したい」という営業の電話かの判断が付きません。そこで単刀直入に、要件は仕事のご依頼なのか、商品やサービスの紹介(営業)なのかを丁寧にお伺いします。実際には9割程度の確率で営業のお話しなので、その時点でお断りします。

ホームページを検索したり、名簿を使ったりして、次々と電話をされているようです。いわゆる「アポなしアウトバウンドコール」ですね。

 

このような営業方法を企画し実行を指示している方は、次の2段階で考えておられるのではないかと思います。

(1)沢山チャレンジしたものが勝つ。

(2)加えて営業は確率戦だ。1%の成約確率があるのであれば、100人に声をかければ1人契約が取れる。

確かに(1)「沢山チャレンジしたものが勝つ」は正しいと思います。いきなり見ず知らずの人に電話するのは勇気がいりますよね。世の中には、チャレンジせずに諦めるケースが多い中で、果敢にチャレンジされているのは素晴らしいと思います。

 

一方で、(2)「営業は確率戦」は危険な考え方だと思います。それは1%の成約確率でOKしている点。

仮に100人に声をかけて1人成約を取る裏に、99人の失注があります。この99人のブランド認知は確実に下がっています。実際に私も「あの有名な〇×△□社さんがこんな営業をするのか…」とちょっと残念に感じました。

加えて電話をかける方も、何回電話しても断られてばかりでは心が折れてしまいかねません。私は丁重にお断りするようにしていますが、数多く電話をかける中には、多忙な仕事中にかかってきて感情的に断られるケースもあるでしょう。

 

一方でこんな私も、相手先からの電話をお受けする場合もあります。

それは事前に電話をいただくことを予め了承しているケース。この裏には、顧客獲得のために設計されたマーケティングプロセスがあり、アウトバウンドコールの専任スペシャリストが電話しています。

「営業は確率戦だ。100人に1人でも契約が取れればOK。だから経験を積ませる意味でも、若い新人に電話をかけさせよう」という発想とは異なり、周到に考えられ準備されているのです。顧客側も納得して電話を受けているので、ブランド認知も下がりません。

 

いわゆる「ローラー作戦」ではなく、本当に必要とする見込み客にピンポイントでコンタクトしたいものです。

そのためには、当ブログでも何回か書いていますように、自社の強みを考え抜き、その強みを必要とするターゲット顧客と、その顧客ニーズを明確にした上で、「お客様が買う理由」を創り上げることが前提になるのだと思います。