新事業を立ち上げても、お客様は現れない


Startup

「まったく新しい分野で事業を立ち上げようとしているんですよ。ヒト・モノ・カネも結構かけています」

知人が話し始めました。(成功して欲しい)と思いながら話を聞いていましたが、途中から感じたことがありました。

(これは厳しいかもしれない…)

そのように思ったきっかけは、次の会話でした。

「お客さんはいるのですか?」

「まずは商品のコンセプト固めとデザインですね。その上でターゲットのお客さんが誰かを考えます。実際にお客さんを探すのは、その後ですね。頑張って販売します」

 

私は様々な企業の新事業立ち上げをご支援していて、実感していることがあります。

「ヒト・モノ・カネをある程度かければ、新事業は立ち上がる」と多くの人が考えています。

しかし新事業がビジネスとして成立するためには、「ヒト・モノ・カネ」よりも大切なことがあるのです。

それは「課題を持つリアルなお客様が見えていること」

 

事業は売上がないと成り立ちません。その売上を生み出すのは、お客様です。

ではお客様とは、新事業を立ち上げると、現れるものなのでしょうか?

かつての「作れば売れた時代」は、事業を立ち上げた後に販売を頑張れば、ある程度はお客様に売れました。

しかし現代は顧客ニーズが多様化し、「作っただけでは売れない時代」。「事業立ち上げ→販売注力→売上増」という図式は成立しないのです。

 

なぜか?

現代では、あるべき姿の順番が逆だからです。

私たちの強みを必要とするお客様が、想像上の産物ではなく、現実に存在している
→ そのお客様が、大きな課題(=痛み)を抱えている
→ その大きな痛みを解決するために、私たちの強みを活かして、商品やサービスの試作品をご提供し、役立つかを検証する
→ そしてそれが役立つのであれば、同様の課題を持つ他のお客様に広げてご提供していく

たとえ当初のお客様の数が少なくても、そのお客様の痛みが大きく、さらに私たち以外に解決できる事業者がいなければ、ビジネスの成功確率は高まります。だから最初に、「大きな痛みを抱える」お客様を見つけて、その課題を理解することが必要です。

なぜならば、お客様と課題が変われば、提供すべき解決策(商品やサービス)も変わるからです。

 

先の友人の考え方は、これとは逆になっているのです。

まず事業(解決策)を立ち上げる
→(そして、望むらくは)お客様が、現れる
→(そして、望むらくは)私たちの事業で、そのお客様の課題を解決できる

成り行きに任せているのです。

 

まずは、大きな課題を持つリアルな顧客が存在していること。

これは企業が事業を立ち上げる場合でも、あるいは個人が独立して事業を興す場合でも、大切なことなのです。

 

 

 

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