「仮説検証」という言葉はかなり広まってきましたが、一方でこんな質問も少なくありません。
「仮説検証の大切さは、よく理解しています。でもどのように検証すればいいのでしょうか?」
こんな時、「では、どんな仮説を持っておられますか?」と伺うとこんなお答えが多いのです。
「これだけ売れればいいな、というのはありますけど」
売上目標は願望であり、仮説ではありません。
本来の仮説とは、目標を実現する上で想定される状況と、その状況毎の対応策をセットにしたものです。そして結果を検証したら、予め考えておいた対応策を即座に実施することが必要です。現代のビジネスは時間勝負。このように仮説検証を回すことでビジネスのスピードが上がるのです。
でも、これだけだとちょっとわかりにくいですよね。
先日、コメディ映画「ミスター・ビーン」を見ていて、「これぞ、まさに仮説検証のあるべき姿!」という場面がありました。ちなみに見たのはこの映画です。
英国から米国に出張するビーンを、米国のホストが自宅に泊めることになりました。
ホストの自宅に到着したビーンは、どう見ても挙動不審人物。その様子をニコニコと笑顔で見ていた奥さんは、ホストである夫に「ちょっとあなた、キッチンでお話しがあるの」と呼び出し、強い口調でこのように言います。
「はっきり言って、不気味な火星人の方が彼よりもずっとマシよ。彼が家にいるのなんて、ゼッタイ反対。ホテルに泊まってもらってね」
「わ、わかった。そうする」
ホストの彼はその場で約束しますが、その後、仕事先に彼を連れて行くとトラブル続き。ホテル探しする時間もなく、ビーンを連れて帰宅します。
早速、妻がたずねます。
「あなた、ビーンさんは?」
「いや、実は時間がなくて、ホテルが探せなくって……」
ここで奥さんは、息子と娘に大声でこのように言います。
「プランBよ!」
3人は即座にまとめておいた荷物を持って家を出て、奥さんの実家に向かいました。
奥さんは、見事に仮説検証を実践していることがわかります。
1.事前に仮説を立てておく。
仮説A「夫は、ビーンをホテルに泊める」
仮説B「夫は、ビーンを連れて帰ってくる」
2.それぞれの仮説に対して、対応策を考える。
プランA「ビーンはホテルへ→普段の生活に戻るので、一安心」
プランB「ビーンが帰ってくる→実家に帰る(荷物をまとめておく)」
3.予め1と2を関係者(子供達、実家の両親)に周知徹底しておく。
4. 結果を検証し、即座にプランA・プランBのいずれを発動するのかを決定し、実行する
「夫はビーンを連れて帰ってきた→プランB発動」
このように考えると、仮説検証が回すポイントがわかります。
・まず、具体的な仮説を立てること
・それぞれの仮説に対して、具体的な対応策(プランA、プランB、…)を考えておくこと
・予め関係者に周知徹底すること
・プランを即座に発動できるように準備しておくこと
・そして結果がわかったら、躊躇なくプランを実行すること
予め策定しておいたプランと、即座の実行が伴ってこそ、はじめての仮説検証なのです。
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