基本設計、59年間不変!脅威のスーパーカブ


(写真はホンダのサイトより)

 

ホンダの二輪車「スーパーカブ」の累計生産が1億台を突破しました。本当に素晴らしいことですよね。

1958年の初代誕生から、59年。
「前任者の否定」がホンダの文化であり、スーパーカブもモデルチェンジを繰り返していますが、スーパーカブの基本構造は59年前から変わりません。

モデルチェンジのたびに新しいデザインやアイデアが出てくるものの、開発が進むと「これはお客さんは望んでいないよね」ということになり、元の基本レイアウトに戻ってしまうとか。乗り味も初代と最新型はほとんど変わらないそうです。

初代の基本設計がいかに徹底的に極められたものだったかを、物語っています。

そのスーパーカブがいかに生まれたのか?
2017/10/20の日経産業新聞記事「老いぬカブ ホンダの原点」を読んで、よくわかりました。

 

スーパーカブの誕生は、当時ホンダの大番頭だった藤沢武夫さんが、本田宗一郎さんに言った「50ccで底辺が広がらない限り、うちの将来はない」という危機感がきっかけでした。これを受けて宗一郎さんは欧州を見て回りましたが、当時舗装されていなかった日本に合うものはありませんでした。

そこで宗一郎さんから開発陣への指示は「そば屋の出前のお兄ちゃんが、片手で乗れるクルマ」。仕事に役立ち、悪路でも乗りやすい頑丈な乗り物、ということですね。藤沢さんの指示も「奥さんが買ってもいいと言うものにしてくれ」。

この指示を受けた開発陣は必死に考え、クラッチ操作不要で片手で乗り回せるメカニズムを作り、燃料タンクやエンジンを中央に据えて重心を安定させ、スカートの女性もまたいで乗れるようにハンドルとシートの間に広いスペースを設け、さらにエンジンが露出しないようにカバーを付けました。

「そば屋のおにいちゃんが片手で乗れる」という徹底的な顧客目線、さらに「奥さんが買ってもいい」という価格感と価値観。この徹底したわかりやすい顧客中心思考とバランス感覚、素晴らしいですね。

スーパーカブの基本設計は変わりませんが、常に最新技術を活用しています。新しい排ガス規制にも対応、小まめにメンテしなくても故障しないように耐久性も高め、リッター100キロ走る燃費性能も実現しています。

私たちが街中でよく見かけるカブは、59年前の徹底した顧客中心思考を、常に最新技術で磨き続けてきた産物なのです。

 

その一方で、世界はEV、自動運転、シェアなどの新しい動きが生まれています。今後50年、スーパーカブがどのように荒波を乗り切っていくのか、期待されるところです。

 

 

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