やや時代をさかのぼり、1960年代、米国での出来事です。
ウォッカ「スミノフ」を販売するヒューブライン社は絶好調。米国国内シェアは20年間トップでした。そんなある日、ライバルのシーグラム社がこんな発表をしました。
「新商品ウォルフシュミットは、あのスミノフと同等品質。しかも1ドル安いんです!」
早速スミノフの関係者が集まり、対策を協議しました。
「当社もスミノフを1ドル値下げして対抗しましょう」
「それだと売上が下がるだけです。価格据え置きで、広告と販促で攻勢です」
「それってお金がかかりますよね。ここは放置、ってことでどうですか?」
でてきた案は、どれも一長一短。
悩み抜いた末に出した対抗策は3つでした。
その1:逆に、スミノフの価格を1ドル値上げする
その2:ライバルのウォルフシュミットと同価格で、新商品「レルスカ」を投入
その3:ライバルのウォルフシュミットよりも1ドル安い「ポポフ」を投入
結果、1980年代を通じてスミノフは米国のシェア1位を維持。
さらにポポフはシェア2位を獲得しました。
これはNorton Paleyの”The Manager’s Guide to Competitive Marketing Strategies 3rd Edition”という本にあった事例です。
スミノフを値上げすることで、ブランドイメージを向上したことに加えて、売上・利益も拡大し、さらに新商品ラインアップも増えたのです。
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