顧客目線が難しい理由


顧客目線に立つのは、本当に難しいですね。

顧客目線で徹底的に考え抜き顧客インタビューを何度も行って商品や広告メッセージを創り上げ、「これだけ考え抜いたから絶対大丈夫」と思ったのに、顧客がまったく反応しない、ということは実によくあります。

「刺さる広告」(レックス・ブリッグス&グレッグ・スチュアート著)を読んでいて、その理由を端的に述べている一文に出会いました。

マーケターは家族や恋人と過ごすよりも自分のブランドと過ごす時間のほうが長い。だが、消費者がそのブランドについて考えるのは、一度に数秒に過ぎない。

少し補足します。

私たちは顧客の様々な調査情報を元に顧客のことを考えて、商品をデザインし、時間をかけて考え抜きます。社内外の人達にも声をかけて大勢で考え、完璧なメッセージを創り上げます。膨大な時間をかけるわけですね。

しかし顧客はほとんど時間をかけません。

自分が顧客の立場なる、よくわかるのではないでしょうか?

たとえば店頭にある商品は、ほとんど素通り。
あるいは新聞広告は、チラッと「あ、広告ね」と思うだけで、目は記事を追うだけ。
大金をかけたテレビCMも、録画の早送りでスキップされたりします。

私たちが膨大な時間を投下し顧客目線を意識して考えた商品や広告メッセージも、顧客から見たら膨大な他情報の中に埋もれたごく一部です。

私たちが時間をかければかけるほど、顧客と同じ白紙の状態で見ることが出来なくなるという皮肉なパラドックスが起こっているのです。
私たちのレンズは、「自社目線」で大きく歪んでいます。

だからこそ様々な手段を駆使して客観的に消費者の脳内を理解し、検証することがとても大事なのです。

 

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