「これは参りました!(笑)」と思いました。
先月(2022年11月)、こんな商品が発売されていたのです。
『アサヒ おいしい水 天然水 白湯』
白湯(さゆ)です。
要は、ミネラルウォーターを温めて店頭に出したドリンクです。
「え?それだけ?」と思ってしまいますよね。
私は、ありがちな会社の社内会議でこの商品企画を提案するとどうなるか、つい想像してしまいます。
担当者「白湯を提案します」
部長 「天然水を温めただけじゃん。こんなんで売れるの?」
しかしこの商品、ヒットしているのです。
Twitterで「アサヒ 白湯」で検索してみると、こんな声が次々と出てきます。
「本当美味しい よく分かってるアサヒ」
「これからの季節に嬉しい!」
「水筒持ち歩かないからペットボトルの白湯ありがたい。Asahiに感謝」
「ついに出た!!ペット白湯〜!! ずっと欲しかったからコンビニで見かけて即買い!」
「美味しくてビックリ」
ちなみにコンビニやスーパーのホット飲料コーナーで、白湯の適温(約50~60℃)に温めた状態で販売されています。
アサヒの発表によると、白湯の飲用経験率は2009年の11.8%から、2022年には61.0%と5倍になっています。男性の飲用経験率も54.4%。なんと13年で5倍に成長する、隠れた超成長市場だったのです。
どんな時に飲むかというと、女性は「冬場の冷えや寒さ対策」「体に良さそう」、男性は「朝からカフェインを取りすぎないように、意識して白湯を飲んでいる」、といった感じです。健康志向ですね。
確かに私も白湯を飲むと、身体がリラックスした感じになります。
でも飲みたいときに買えないんですよね。
まさに「ありそうでなかった、とても欲しいモノ」ですね。
「既存知×既存知」がイノベーションと言われますが、この商品も「天然水×ホット飲料コーナー」という既存知同士の掛け算で生まれたイノベーションとも言えると思います。
この商品には、ポイントが2つあると思いました。
まず「白湯」というネーミング。実は2014年に「ホット天然水」という商品を出したのですが、売れなかったそうです。確かに機能面を考えると「温めた天然水=ホット天然水」ですが、健康志向を考えると「白湯(さゆ)」の方が消費者の心に刺さりますよね。
もう一つはタイミング。6割の人が白湯の飲用経験を持つ2022年という絶好のタイミングだからこそのヒットなのでしょう。
「レッドオーシャン」と思われがちな市場でも、消費者の隠れた不満は必ずあります。その隠れた不満の発見がブルーオーシャンになることを、この商品は教えてくれているように思います。
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。