ライバルがいないブルーオーシャン市場で、斬新な製品を出して、顧客に支持されて、売れたとします。
しかし成功が大きいほど、ライバル企業が多数その市場に参入して、その斬新な製品を模倣してきます。
こうなると数年〜10年程度で、ブルーオーシャン市場はレッドオーシャン市場と化して、競争が激化します。
どうすればいいのでしょうか?
エアウィーヴは2007年、最初の製品『マットレスパッド』を発売しました。
当時市場になかった高反発素材を使った寝具を開発し、試しに使った顧客からも「よく眠れる」と高評価でした。しかし残念ながら、初年度は売れませんでした。
この時、エアウィーヴは、色々と反省しました。
まずライバルにない製品機能で売ろうとしたのですが、それでは売れなかったわけです。
実は寝具市場は特殊で、お客さんはまず「寝具を買おう」と考えて、特にどの商品を買うかを決めずに、デパート最上階などにある寝具売り場に行きます。こんな買い方をするので、デパートなどの売り場でどれだけ商品陳列面積を取るかで勝負が決まる世界だったのです。最後発のエアウィーヴは、売り場がほとんど取れていませんでした。
売り場面積を最後発で押さえるのはとても難しいので、エアウィーヴは「指名買いされるようにしよう」と考えました。つまりブランドを確立する、ということです。
そこで経営者の高岡社長がブランドの専門家に相談したところ、「ブランドって実績だよ」と言われました。
一方で初年度に製品はあまり売れませんでしたが、「質の良い睡眠」を求めるアスリートたちから高評価を得ました。当時、「質の良い睡眠のための寝具」という製品=市場はなかったのです。
「質の高い睡眠を求める人たちがいる」と気がついたエアウィーヴは、アスリートに特化して製品改良を始め、オリンピック選手も使うまでに実績を積み上げました。
この実績をPR(パブリックリレーション)活動で広げ、ある程度認知が広がったところで、さらに大規模に広告戦略で訴求を拡げていきました。
そして「Quality Sleep = エアウィーヴ」というブランド認知を築き上げました。
一方でエアウィーヴが売れ始めると、5-10年ほど遅れて、ライバルの寝具メーカーも「質の良い睡眠のための寝具」の市場に次々と参入してきました。
いまやライバル達も独自の技術を使っていかに質の高い睡眠を実現するかを考えています。そしていまや、この市場は広く認知されるようになりました。
その中でも、エアウィーヴのブランド認知は高く評価されています。
このエアウィーヴの戦略は、「斬新な製品は模倣される」というジレンマへの対抗策を教えてくれます。
最初の段階では、機能の差別化が有効です。エアウィーヴがアスリートに支持されたのも、当時は質の高い睡眠を実現する寝具がなかったからです。
しかし商品が広がっていくと、類似の機能を持つライバル商品が増えてきます。この段階で必要なのは、商品に対する顧客の認知、つまりブランディングです。
つまり「斬新な製品は模倣される」というジレンマへの対抗策は、最初からブランディングを考えて、実績を着実に積み上げることなのです。
御社の斬新な新製品は、どのように実績を積み上げてブランディングを実現するか、考えているでしょうか?
■当コラムは、毎週メルマガでお届けしています。ご登録はこちらへ。